柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

   

画廊ブログ「絵画のたのしみ」

2025.11.15

《作品紹介》熊谷守一 墨彩画 蟻

柳ケ瀬画廊では「文化の日 熊谷守一展」を開催しています。
油彩画3点、日本画8点、書6点、版画4点、合計21点を展示しています。

本展では熊谷守一先生の描いた動物の作品を多く展示しています。
登場する動物はアリ、ハチ、ねずみ、からすです。

アリは熊谷守一先生の言葉に「蟻は左の二番目の足から歩きはじめる」という有名な言葉があり、熊谷先生が生き物を観察し尽して描いた画家という意味で度々引用されるため、アリがぜひ欲しいとおっしゃられる方の多いモチーフです。
今回の作品は花とアリが描かれた作品で、桃色の花と、緑色の葉、そしてアリの青色のカラーバランスも美しい墨彩画です。何匹かのアリが描かれているため、日によって会話しているように見えたり、自由に楽しそうに歩き回っているように見えたり、その日の気候や気分で色々な見方ができる構図になっています。

熊谷先生のアリの作品はなかなか手に入らないため、柳ケ瀬画廊でも久しぶりの展示です。
ご興味ございましたらぜひお出掛けくださいませ。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2025.11.13

《ブログ》楽しみな展覧会 国宝源氏物語絵巻

柳ケ瀬画廊では「文化の日 熊谷守一展」を開催しています。

芸術の秋、ということで各地の美術館・画廊でも一斉に力の入った展覧会がはじまっていますね。
毎年秋はどの美術館に行こうか目移りするような楽しみがあります。

そんななか、今週末からは名古屋で注目の特別展がはじまります。
徳川美術館さんの「国宝 源氏物語絵巻」の全巻一挙公開展示です。

多くの絵師が描いた源氏物語絵巻のなかで、国宝に指定され、最古の傑作といわれるものは二種類のみで、ひとつが東急グループを興した五島家の五島美術館が所蔵する「源氏物語絵巻」で、もうひとつが徳川家の徳川美術館が所蔵する「源氏物語絵巻」です。
とても貴重な作品のためなかなか公開されず、徳川美術館でも全巻一挙公開されるのは10年ぶりです。今年が美術館開館90周年のため、特別に公開されるとのことでした。

柳ケ瀬画廊の取り扱う近現代絵画とは時代が異なる作品ですが、日本美術の中心にある構図のとり方、時間の切り取り方、場面転換の考え方など、日本美術の根底にある美はどの時代にも通じる気がいたします。
私も画廊の仕事を始めたばかりの頃、先輩に「どうすれば見る目が育ちますか」とお尋ねしたところ、「取り扱う時代の作品だけでなく、古いものから海外からあらゆる美しいものを見るといいよ。美しいということは全てに通じていて、どの時代の作品を見るときでも役に立つから」と言われたことを覚えています。それ以来、専門外の作品もジャンルを超えてみるようにしていますが、確かに時代は異なっていても通じるものを感じることは多いです。

10年ぶりの公開、お気になられましたら芸術の秋のお出掛けにいかがでしょうか^^

柳ケ瀬画廊でも11月24日まで熊谷守一展を開催しております。
よろしければこちらもあわせてぜひお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2025.11.08

《作品紹介》熊谷守一 書 一二三

柳ケ瀬画廊では「文化の日 熊谷守一展」を開催しています。
熊谷守一展は毎年秋恒例の展覧会で、開催のタイミングで手に入った作品を展示しておりますので、毎年がらりと雰囲気が変わってまいります。今年は墨の作品(墨彩画、水墨画、書)の名品が揃った展示となりました。

書の作品では、軸装の「一二三」という作品を画廊に入ってすぐの壁に飾りました。
熊谷先生らしい飾らない筆使いで数字が三個書かれています。

熊谷先生はご友人に墨画を描く画家や、白樺派の文壇関係者が多くおりましたので、昔から良い墨が多く手元にあったと言われています。
そのため、熊谷先生の描く墨の作品の黒はそれぞれ異なっていて、今回の「一二三」は深みのある黒い墨でしっかり描き、隣に飾っている「茶三昧」という書では少しかすれた風味を出していて、「五風十雨」では雨の部分に薄い色の墨を用いています。ことばにあわせて選んで使っていらっしゃったのかなと思います。

今回の熊谷守一展では書の名品を多く飾っていますので、そうした熊谷先生の墨の用い方も見比べてお楽しみいただけます。
ぜひ実作品をご覧になってみてくださいませ。

「文化の日 熊谷守一展」は11月24日までの開催です。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2025.11.07

《作品紹介》熊谷守一 墨彩画 種を蒔く人

柳ケ瀬画廊では「文化の日 熊谷守一展」を開催しています。

画廊に「たねまき」という題名の墨彩画を飾りました。
赤子を背負った女性が大地に種を蒔く構図の作品です。
赤子のおくるみには赤橙が使われていて、瑞々しい生命が色彩でも表現されています。

熊谷先生は子供、なかでも赤子が好きだったそうです。
生涯の友であった音楽家・信時潔氏がエッセイのなかで、熊谷さんの好きなものとして「子供、わけて生れたての赤ン坊、極早春の山の木の芽、馬、野草野鳥、金物では鉄、銀、機械類、刀、焚火、仕事では鍛冶屋、食物では米の飯、バタ、燻製類わけて鰊のそれ。それから画といいたいが大概の画よりは素地のカンバスが好きらしい」と書いています。様々な好きなものが羅列されるなか、最初にあげられるくらいなのでよほどお好きだったのでしょうね。

熊谷作品に登場する赤子は皆、赤系統の着色がされています。
産まれたばかりの真っ赤な肌色を表したかったのでしょうか。
油彩画や墨彩画で何枚も描き、娘の榧さんがご出産されたときも母子の油彩画を描くなどしています。

作品は画廊にて展示しています。
お時間ございましたらぜひお出かけいただきご覧くださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2025.11.06

《ブログ》国立博物館のクラウドファンディング

柳ケ瀬画廊では「文化の日 熊谷守一展」を開催しています。

美術のニュースを見ておりましたら、先月頭に始まった東京国立博物館のクラウドファンディングがわずか一ヶ月ほどで目標額3000万円に到達したと報道されていました。
古いお屋敷で見つかった源氏物語の屏風の修復のためのクラウドファンディングです。

該当の作品は六曲一双と呼ばれる形式の屏風で、「六曲」は六面が蝶番で屏風に仕立てられているという意味で、「一双」は二枚(二隻)の屏風が対となって存在する作品という意味です。
そのため、普段は折って立てられる屏風を床に寝かせて広げると、今回の作品も7mほどの長さになり、また江戸時代に制作された作品のため修復にも最新の注意が必要ということで、3000万円という修復費用を要するようです。

描いたのは江戸時代の土佐派の絵師ですが、土佐派は室町時代からの歴史のある一派ですので、作品も重厚な歴史の重なりを持つような、金泥で描かれた雲で場面が展開していく優美な仕上がりになっています。

クラウドファンディングは2ヶ月ほどの予定ですので、期間半ばで達成だなんて嬉しいですね。
美術を愛する方たちがたくさんいらっしゃるのだなと、胸があたたかくなります。

このクラウドファンディングは12月19日までの開催で、引き続きさらなる寄付も受け付けています。
寄付額にあわせて特別な返礼品やイベント参加権なども設けられていますので、ご興味ございましたら特設サイト(https://readyfor.jp/projects/tohaku2025)をご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

また、柳ケ瀬画廊でも熊谷守一展を11月24日まで開催しています。
毎年、その折々に手に入った作品を展示しておりますので、毎年、そのとき限りの展示となっています。
こちらもぜひご覧にお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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