2025.06.14
《作品紹介》三岸節子 花
柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
6月29日まで、巨匠・大家による21作品を展覧いたします。
展示作品のご紹介です。
三岸節子の10号大の黄色い花を飾りました。
エネルギッシュで、見ているこちらまで華やかな気持ちになれるような油彩画です。
三岸作品は制作年のほかに制作月も分かることが多いのですが、
本作品も5月の初夏の時期に描かれたことが分かっています。
一度目の渡仏と、二度目の渡仏の合間に神奈川県の大磯にある海の見える山荘に転居して、野菜は自分で家庭菜園で作り、お気に入りの花を栽培して作品に登場させるなどしていた頃の作品です。
三岸の花の描き方は少し独特で、自著のなかで「花の絵を描く時も(中略)最初にイメージするのは形ではなく黄、青、白といった色なんです。形は色を追求していく間に出てくるんですね」と語っています。
花の中ではミモザの姿も愛して「なんて美しいでしょう」などとおっしゃっていましたが、三岸作品の花は三岸の心の中から生まれる花なので特定の品種ということはないそうです。
日々の生活のなかで体や心のなかからあふれたイメージなので、三岸作品はどれも明るく元気で、見ている私たちも幸せな気持ちにしてくれるのかもしませんね。
作品は6月29日まで開催の秀作鑑賞展に展示しています。
お時間ございましたらぜひご覧くださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.12
《作品紹介》山口薫 油彩画 牛
柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
国内外の大家・巨匠の作品23点を展示中です。
展示作品のご紹介です。
画廊の正面横の壁に山口薫の牛の油彩画を飾りました。
山口薫は黒田清輝や浅井忠らの洋画黎明期の世代の教え子世代の 熊谷守一や藤田嗣治らのさらに次世代の、この地方ですと荻須高徳や三岸節子らといった画家たちと同世代の人物です。
東京美術学校で学び、60年の生涯で数多くの作品を手掛けました。
群馬県の自然豊かな地に生まれ、故郷を愛していたため、山口作品には牛や馬、森、沼など故郷に関わるモチーフが多く登場します。また、1930年代にそれまで描いていた写実から抽象的な作品に近づき、抽象そのものの世界に行くことはありませんでしたが、具象と抽象の狭間にいるような、レースのカーテンで何層にもなった世界を描くような作品を作り上げていきます。
今回柳ケ瀬画廊で展示している作品は、そんな山口の故郷を感じる牛のモチーフが、具象的であり抽象的でもあり描かれた油彩画です。
この頃の山口はヴェネツィア・ビエンナーレに出品するなど、国際的な舞台でも展示されるような作家になっていて、50代の脂の乗った時期を楽しんでいました。
牛の背景には太陽も描かれており、多彩な色彩を用いて輝く太陽の姿には画家の充実っぷりも伺えます。
作品は6月29日まで開催の秀作鑑賞展に展示しています。
お時間ございましたらぜひご覧くださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.09
《ブログ》中日新聞さんに展覧会をご紹介いただきました
柳ケ瀬画廊では秀作鑑賞展を開催中です。
昨日6月8日の中日新聞さんでは、
展覧会の様子を取り上げていただきました。
記事でも紹介してくださっていますが、年に一度の秀作鑑賞展では美術館でも出会えるような巨匠や大家の作品を揃えて展示しています。
美術館は非日常の空間で、それぞれの画家と静かに向き合うことができることに対して、画廊はより日常に近い空間ですので、肩の力を抜いてリラックスして鑑賞していただける楽しみがあると思います。同じ画家の作品でも印象が変わってくるかと思いますので、ぜひ美術館だけでなく画廊でもアートと触れる機会を楽しんでいただけましたら幸いです。
現在10名の画家による23作品を展示しています。
熊谷守一、香月泰男、山口薫、東郷青児、三岸節子、棟方志功、鳥海青児、堀太郎、ピカソ、ローランサンの作品を鑑賞いただけます。6月29日(日)までの開催です。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.08
《作品紹介》マリー・ローランサン
柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
国内外の大家・巨匠の作品23点を展示中です。
展示作品のご紹介です。
久しぶりにマリー・ローランサンの作品が入りました。
花冠をかぶった女性の表情を瑞々しく描いた水彩画で、タイトルが日本語で「かわいい」という意味をしています。
ローランサンはフランス・パリで生まれ、10代の頃にお針子をしていた母からティーカップの絵付けをするように言われ、その絵がうまかったことから美術学校に入り、ブラックやピカビアなど同時代のアーティストと出会い活動を始めた女性です。
ピカソもローランサンを評価したひとりで、作品を購入したほか、当時大きな意味を持っていたニューヨークで開かれるアーモリー・ショーへの推薦作家のひとりとして彼女を推しています。ただ、ふたりは親しくはあり、ローランサンもキュビスムの影響を受けますが、画風の面ではローランサンはピカソに接近しすぎることなく自分のスタイルを守りました。そうして「自分らしさ」を考え続け、独自のスタイルを築いたローランサンの作品は、パリの上流階級の女性たちの間でローランサンに自画像を描いてもらうことが流行となるほどの人気となっていきます。
活動の幅も広く、舞台装置や衣装デザインも手掛けています。ココ・シャネルとの交流も有名ですね。
1883年のお生まれなので、日本人の熊谷守一や藤田嗣治らが同時代を生きています。
ローランサンが「なぜ死んだ魚や玉ねぎ、ビールグラスを描かねばならないのでしょう。女の子の方がずっと可愛いのに」といって女性像を多く手掛けたエピソードなどは、熊谷守一が切り花を死んだ花だから描きたくないと言っていたことにも重なります。どちらも生きているもの、瑞々しいいのちを描いた作家です。
ローランサンの婦人像は画廊の正面手前に飾っています。
また、今回の秀作鑑賞展では、棟方志功の妙肌韻板画柵シリーズや、東郷青児の女性像も展示していますので、女性の作品に囲まれた画廊となりました。同じ女性像でもそれぞれの画家によって、まとう空気が異なっていますので、ぜひ画廊にて見比べてお楽しみいただけましたら幸いです。
柳ケ瀬画廊の秀作鑑賞展は6月29日までの開催です。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.08
《ブログ》岐阜新聞さんに展覧会をご紹介いただきました
柳ケ瀬画廊では秀作鑑賞展を開催中です。
昨日6月7日の岐阜新聞さんでは、
展覧会の様子を取り上げていただきました。
記事でも紹介してくださっていますが、本展では棟方志功の「妙肌韻板画柵」のシリーズ全作品をはじめ、熊谷守一、香月泰男、東郷青児、ローランサンなど10作家による23作品を展示しています。
「妙肌韻板画柵」は「みょうきいんはんがさく」と読みます。
現在放送中の大河ドラマでも登場する浮世絵は江戸時代に広く親しまれましたが、明治になり西洋の版画技術が伝わると下火になります。そんななか、木版画の復興をしようとする芸術家たちが「新版画」「創作版画」の活動を始めました。
「新版画」は浮世絵と同じく絵師・彫師・摺師による分業で作品を仕上げるやり方を唱え、「創作版画」はひとりで自画・自刻・自摺のすべてを行うやり方を唱えました。棟方志功は後者の創作版画の運動に関わるやり方で、本作「妙肌韻板画柵」でも作品奥付に「自画・自刻・自摺 棟方志功」と記されています。
どれも小ぶりの作品で、個人コレクターの方でも気軽に飾り替えのできるサイズとなっています。
13作品を季節や気分にあわせて飾りかえてみてはいかがでしょうか。
展覧会は6月29日までの開催です。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子