2025.07.03
《ブログ》楽しみな展覧会、竹内栖鳳展
柳ケ瀬画廊では秀作鑑賞展を開催しています。
今週末の6月29日まで巨匠・大家の作品を展覧しています。
さて、愛知県美術館さんから来月始まる楽しみな展覧会のチラシが届きました。
日本画の巨匠・竹内栖鳳の展覧会です。東京の巨匠・横山大観と並んで「東の大観、西の栖鳳」と呼ばれた、近代日本画を代表する人物ですね。
京都の料理屋の家庭にうまれた栖鳳は、当時京都で活躍していた幸野楳嶺のもとで学び、早くから頭角をあらわして楳嶺四天王と呼ばれるまでになります。
余談ですが、師匠である幸野楳嶺が若い頃、占い師に自身の将来をみてもらったところ「気の毒だが一流の絵師にはなれない。しかし、二流の絵描きにはなる。そして、おまえさんが育てた者の中から天下一流の絵描きが必ず出る。だから弟子を育てなさい」といわれたそうです。
楳嶺自身も京都の四条派で著名な画家でしたが、その後、数多くの一流の日本画家を育てることとなります。その「一流の絵描き」の筆頭が竹内栖鳳です。栖鳳もまた上村松園、土田麦僊、小野竹喬、福田平八郎といった多くの弟子を育てたので、間接的な人物を含めると楳嶺から生まれた画家は非常に充実しています。
話を戻して、栖鳳は楳嶺のもとで伝統的な四条派の画風を学びながら、1900年には30代半ばでヨーロッパに行きます。私も昔勉強していたときに、渡欧は洋画家の印象でしたので、「日本画家がヨーロッパに行くのね」と驚きました。
栖鳳のヨーロッパ留学は実り豊かなものだったようで、帰国後には四条派の流れに西洋の写実の技術を混ぜて、栖鳳にしか描けない日本画を作っていくなどしはじめます。それまでの画家たちが想像上のものとして描いていた獅子を、西洋の動物園で見たライオンのようにリアルに描くなどしたため、当時はその新しさが批判されたこともあったそうですが、今になると同時代の画家から頭一つ出た、オリジナル性があり、それが令和の今でも栖鳳ファンを作っているのだなと感じます。
栖鳳の展覧会は2023年にも京都市美術館(現在の京セラ美術館)で開かれていて、そのときは見そびれてしまったので、今度の愛知県美術館で開かれる栖鳳展は楽しみです。
伝統と革新、日本と西洋、対立する様々な要素をのみこんで貪欲に描いた画家です。
展覧会の詳細は愛知県美術館さんの特設サイト(https://static.chunichi.co.jp/chunichi/pages/event/seiho)に詳しいのでこちらをご確認くださいませ。
夏の楽しみができました(*^^*)
今から展覧会が待ち遠しいです。
良い展覧会があるとワクワクしてまいりますね。
柳ケ瀬画廊 市川瑛子