柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

   

画廊ブログ「絵画のたのしみ」

2021.10.25

《ブログ》小さな特集:赤い鳥(岐阜市立中央図書館)

柳ケ瀬画廊から北に10分ほど歩くと、ぎふメディアコスモスさんがあります。
施設の2階には「岐阜市立中央図書館さん」が入っていて、「郷土のグローブ」の下では いつも小さな特集が企画されています。岐阜に関することや、本に関することなど、お邪魔するたびに楽しみにしているコーナーです。

昨日お邪魔しましたら、小さな特集「雑誌『赤い鳥』大正から昭和、こどもへのまなざし」がひらかれていました。『赤い鳥』というと 芥川龍之介の『蜘蛛の糸』や『杜子春』、新見南吉の『ごん狐』が発表されたことで知られる、日本の児童文学の先駆けとなった雑誌です。

この雑誌は、表紙を洋画家の清水良雄や鈴木淳、童画家の深沢省三や武井武雄が手掛けているので、いま見てもどこか懐かしさを感じつつ新しい感じがいたします(*^^*)当時、文学的な魅力とともに、彼らの表紙画も話題となって多くの人が手に取ったということにも納得です。

ちなみに『赤い鳥』、そして 同誌主宰の鈴木三重吉は岐阜市とはあまりゆかりが思いつきませんでしたので、今回の展示はどういうご縁かなと思っていましたら、岐阜の福富医院さんが資料をご寄贈されたと説明が書かれていました。
会場には鈴木三重吉から福富さんに贈られた手紙も一緒に展示されていて、手紙に書かれている「いい読みものがありますからお子さまにお上げ下さい」という言葉からはふたりの穏やかな関係性が感じられました。

柳ケ瀬画廊でも 今年の年末は絵本に関する展覧会を開きます。
「熊谷守一・五味太郎 小さな生きもの版画展」という展示です。クリスマス前のささやなか展覧会として、11月25日から12月19日にかけて開催の予定です。

現在開催している「文化の日 熊谷守一・香月泰男展」とはまた異なった楽しみだと思います。ぜひ会期がはじまりましたらお出かけくださいませ。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.24

《ブログ》生誕120年記念 荻須高徳展(稲沢市荻須記念美術館)

昨日、愛知県の稲沢市荻須記念美術館さんで「生誕120年記念 荻須高徳展 ~私のパリ、パリの私~」がはじまりました。
荻須先生の作品世界にいるような、建築も美しい美術館です。

荻須先生の作品のファンは全国的ですが、やはり東海地区はご当所なのでコレクターの方も多く、弊社でも時折取扱いをさせていただいています。
戦前の、佐伯祐三作品と響き合っているような作品から、戦後の闊達で明るい作品まで。そこに暮らす人々の生活や、人のあたたかさが感じられるような作風が魅力的ですね。

その荻須先生の生誕120年の展覧会に、さっそく昨日出かけてまいりました。
初日の昨日は、荻須高徳先生の長女・恵美子さんが来館されて、お父様のことなどをお話しになるギャラリートークがひらかれていました。フランスで過ごされていただけあって、おしゃれなファッションで、にっこりと笑顔になると写真でみていた荻須先生に似ていらっしゃいます。

荻須先生が歩くことがお好きでパリのまちを散歩してスケッチをしていたお話や、戦前戦後のパリでの暮らしのお話のことなど、盛りだくさんのトークでした。

とても印象的だったことは、フランスの批評家が荻須作品が「君の石は歌っている」と評したところ、荻須先生は「石を食べたい、自分のものにしたい」とお話になっていたというエピソードです。
そこに過ごす人々の生活や空気感、そうしたものを描こうとしていらした荻須先生らしい言葉だなと感じます。

展覧会では油彩画81点のほか、荻須先生の画文集『私のパリ、パリの私 荻須高徳の回想』のカットや素描も展示されていてボリュームもたっぷりです。
芸術の秋のお出かけにいかがでしょうか(*^^*)

また、柳ケ瀬画廊では、いまは荻須作品の展示はございませんが、同時代の近代洋画家・熊谷守一先生と香月泰男先生の展覧会を開催中です。美術館と画廊では同じ洋画でも異なった距離感がありますので、ぜひ併せてお出かけくださいませ。

***展覧会詳細***

展覧会名:生誕120年記念 荻須高徳展 ~私のパリ、パリの私~
展覧会期:10月23日(土)から12月19日(日)まで
展覧会場:稲沢市荻須記念美術館
稲沢市荻須記念美術館・公式ウェブサイト
http://www.city.inazawa.aichi.jp/museum/kikaku/1006820/index.html

***

展覧会名:文化の日 熊谷守一・香月泰男展
展覧会期:10月7日(木)から11月7日(日)まで(火曜水曜休廊)
展覧会場:柳ケ瀬画廊(岐阜市柳ケ瀬通3-21)
柳ケ瀬画廊・公式ウェブサイト
https://yanagase-web.com/

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.22

作品のご紹介:三岸節子、花

画廊に、華やかな赤色の花を描いた三岸節子先生の油彩画がはいりました。

三岸先生の花には、赤色のほかに、黄色や茶色、緑色などさまざまな色がありますが、とりわけ赤色は「燃えるような朱に熱狂する時代があった」「赤い色が大好き」と三岸先生自身がおっしゃっているように、情熱的で、絵を描く楽しみやよろこびが伝わってくるようです。
作品を見ていると、三岸先生がそこにいるような、存在感もあります。

柳ケ瀬画廊では作品がはいると、額縁の裏をあけて、家族で点検をします。額縁と絵具が一体化していたり、キャンバスを挟んでいたりすることもあるので、作品を傷めてしまわないように工具を使いながら慎重にあけていきます。
コンディションをチェックすることが本来の目的ですが、画商としてはそれだけではなく、キャンバスの裏にいろいろと書かれている 画家からのメッセージを発見することが楽しみです。
この作品では「大磯にて」という地名と、制作年・制作月が書かれていました。フランスから帰国した三岸先生が、1964年に移り住んだ神奈川県大磯町で、夏の終わりに描いた作品だと思います。

作品は、三岸節子先生の画集にも掲載されています。
コンディションも良く、鑑定証書も付けてございます。

お探しの方がいらっしゃいましたら、お声がけくださいませ。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.18

《ブログ》ミレーから印象派への流れ(岐阜県美術館)

岐阜県美術館で開催中の「ミレーから印象派への流れ」展に出かけてまいりました。
横浜、愛媛、長崎、金沢と各地を巡回しているフランス美術の展覧会です。

岐阜県美術館さんは緊急事態宣言で長らく休館されていたので、久しぶりの再開ですね。
私が出かけた日は 日曜日ということもあって入場待ちの列もできていました。

さて、「ミレーから印象派への流れ」展、
日本でもファンの多い《落穂拾い》や《晩鐘》を描いたミレーの展覧会です。

ミレーと言うと農民画家というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、もともとは歴史画や肖像画を描いていた画家でした。その後、フランス革命などの時代背景もあり、サロンで農村を描いた作品が評価されると農民画家としてのイメージが定着していきます。
今回の展覧会ではミレーが7点でていましたが、若い頃の作品がメインで、ミレーの農民画家以外の魅力が見られました。

また、印象派の作品も出ていて、
ウェールズ国立美術館所蔵のモネの《睡蓮》《パラッツォ・ダリオ》、ルノワールの《会話》、セザンヌの《プロヴァンスの風景》がハイライトで出ていました。ボナールやドニ、ベルナールなども展示されていて、フランス美術がお好きな方には特に楽しい展覧会だと思います。

緊急事態宣言の影響で会期が短く、今週木曜日までの開催です。
お出かけされる方は会期にお気をつけてお出かけくださいませ。

また、岐阜市内では弊社・柳ケ瀬画廊も「文化の日 香月泰男展」を開催中です。
こちらも引き続き 熊谷守一の油彩画6点、香月泰男の油彩画8点、熊谷守一の墨彩画1点、合計15点を展覧しています。フランスの名画を鑑賞したあとは、日本の近代洋画の巨匠の作品もぜひ鑑賞にお出かけくださいませ(*^^*)

 

***展覧会詳細***

展覧会名:ミレーから印象派への流れ
展覧会期:10月1日(金)から10月21日(木)まで
展覧会場:岐阜県美術館
岐阜県美術館・公式ウェブサイト
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/

***

展覧会名:文化の日 熊谷守一・香月泰男展
展覧会期:10月7日(木)から11月7日(日)まで(火曜水曜休廊)
展覧会場:柳ケ瀬画廊(岐阜市柳ケ瀬通3-21)
柳ケ瀬画廊・公式ウェブサイト
https://yanagase-web.com/

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.15

《ブログ》愛知県美術館で熊谷作品13点が展示されています

柳ケ瀬画廊では「文化の日 熊谷守一・香月泰男展」を開催中です(*^^*)

ようやく緊急事態宣言があけた影響でしょうか、久しぶりに絵を楽しみにきました、とおっしゃってくださる声が聞こえてきて とても嬉しいです。
引き続き、熊谷守一先生の油彩画6点、香月泰男先生の油彩画8点を展覧しています。

さて、いま 愛知県美術館さんでも熊谷守一先生の作品が展示されています。

愛知県美術館さんでは、企画展「曽我蕭白 奇想ここに極まれり」を開催中です。
そちらと同時開催のコレクション展のなかの、展示室8にて「木村定三コレクション 浜田葆光と熊谷守一」が組まれていて、熊谷作品13点が展示されているとのことでした。

油彩画「高原」や、日本画「蒲公英に蝦蟆」が出ていて拝見することが楽しみです。
油彩画の「高原」は1940年、熊谷先生が還暦の年に描かれた作品です。熊谷先生は赤い輪郭線と簡明な色面でつくられた「モリカズ様式」というデザイン的な画風で知られていますが、その画風が完成したのは後半生のことで、まだまだ還暦の頃は過渡期の絵を描いていらっしゃいます。油彩画なのに水彩画のような透明感やとろみがあって、とても素敵な作品です。
「蒲公英に蝦蟇」は、ガマガエルがタンポポの香りをうっとりと嗅いでいるような作品で、見ていて幸せな気持ちになります。1938年に描かれて、翌年に丸善名古屋支店で開かれた新毛筆画展に出品し、木村定三さんが買い上げたことで知られています。この展覧会で、のちの熊谷守一作品の大コレクターになる木村定三さんと熊谷守一先生は出会っているので、記念碑的な作品でもありますね(*^^*)

今回は風景画などが多く、玄人さんや、渋好みのかたが喜びそうですが、とても熊谷先生の油彩画と日本画のそれぞれのチャーミングな部分が出ている作品がセレクトされているので、猫や蟻や蝶のイメージの強い方にも見ていただけたら嬉しいなと思っています。

愛知県美術館さんの「曽我蕭白 奇想ここに極まれり」「木村定三コレクション 浜田葆光と熊谷守一」はどちらも11月21日までの開催です。
芸術の秋のお出かけにいかがでしょうか。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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