柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

   

画廊ブログ「絵画のたのしみ」

2021.10.15

《ブログ》愛知県美術館で熊谷作品13点が展示されています

柳ケ瀬画廊では「文化の日 熊谷守一・香月泰男展」を開催中です(*^^*)

ようやく緊急事態宣言があけた影響でしょうか、久しぶりに絵を楽しみにきました、とおっしゃってくださる声が聞こえてきて とても嬉しいです。
引き続き、熊谷守一先生の油彩画6点、香月泰男先生の油彩画8点を展覧しています。

さて、いま 愛知県美術館さんでも熊谷守一先生の作品が展示されています。

愛知県美術館さんでは、企画展「曽我蕭白 奇想ここに極まれり」を開催中です。
そちらと同時開催のコレクション展のなかの、展示室8にて「木村定三コレクション 浜田葆光と熊谷守一」が組まれていて、熊谷作品13点が展示されているとのことでした。

油彩画「高原」や、日本画「蒲公英に蝦蟆」が出ていて拝見することが楽しみです。
油彩画の「高原」は1940年、熊谷先生が還暦の年に描かれた作品です。熊谷先生は赤い輪郭線と簡明な色面でつくられた「モリカズ様式」というデザイン的な画風で知られていますが、その画風が完成したのは後半生のことで、まだまだ還暦の頃は過渡期の絵を描いていらっしゃいます。油彩画なのに水彩画のような透明感やとろみがあって、とても素敵な作品です。
「蒲公英に蝦蟇」は、ガマガエルがタンポポの香りをうっとりと嗅いでいるような作品で、見ていて幸せな気持ちになります。1938年に描かれて、翌年に丸善名古屋支店で開かれた新毛筆画展に出品し、木村定三さんが買い上げたことで知られています。この展覧会で、のちの熊谷守一作品の大コレクターになる木村定三さんと熊谷守一先生は出会っているので、記念碑的な作品でもありますね(*^^*)

今回は風景画などが多く、玄人さんや、渋好みのかたが喜びそうですが、とても熊谷先生の油彩画と日本画のそれぞれのチャーミングな部分が出ている作品がセレクトされているので、猫や蟻や蝶のイメージの強い方にも見ていただけたら嬉しいなと思っています。

愛知県美術館さんの「曽我蕭白 奇想ここに極まれり」「木村定三コレクション 浜田葆光と熊谷守一」はどちらも11月21日までの開催です。
芸術の秋のお出かけにいかがでしょうか。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.10

《ブログ》愛知県瀬戸市の池袋モンパルナス展

瀬戸市美術館で開かれている「池袋モンパルナス展 画家たちの交差点」に出かけてまいりました。文化センター内にある立派な美術館です。

展覧会は、100点以上の作品が展示されていて、充実の内容でした。
熊谷守一先生も暮らした池袋界隈には、1920年代からアトリエ付き住宅が次々と建てられていて、芸術家たちが移り住み、「池袋モンパルナス」と呼ばれる芸術家村のようになっていたそうです。展示室では「池袋モンパルナスと小熊秀雄」「池袋芸術家クラブの結成」「新人画会」「戦後の池袋モンパルナス」などなど、当時の様子が感じられるように作品が紹介されていました。
弊社でも取扱いのある松本竣介や麻生三郎、長谷川利行といった作家も展示されています。特に長谷川利行の大作《水泳場》を久しぶりに見られてラッキーでした。モダンな風景と利行のタッチはよく合いますね(*^^*)

作品のほか、当時の様子を復元した模型もありました。大きなキャンバスや額縁を出し入れできるような扉があるなど、芸術家のための住まいらしい様子がうかがえて面白かったです。

また、瀬戸といえば北川民次先生が愛し暮らした地です。そのため第4章では一室まるごと北川民次先生の油彩画・水彩画・陶磁器などが展示されていて、油彩画のバッタなど北川先生らしい作品も楽しめました。

瀬戸市美術館さんから車で10分ほどの場所には、瀬戸市立図書館さんがあります。
モンパルナス展の最後のお部屋で、瀬戸市立図書館さんは北川民次先生の立派な壁画があると紹介されていました。帰りにさっそく寄ってまいりました。

美術館で原画が紹介されていた3作品が壁画になっています。
外壁の壁画が2種類と、エントランスに入って正面の壁画が1種類みられます。

民次ファンにはたまらないです!
1970年竣工のため、もうできてから50年ほど経っているはずですが、色もとても鮮やかで躍動感がありました。

瀬戸といえば、北川民次先生だけでなく、藤井聡太さんも有名ですね。
図書館内に特集コーナーができていて、地元の愛情が伝わってきました(*^^*)

柳ケ瀬画廊でも「文化の日 熊谷守一・香月泰男展」を開催中です。
熊谷守一先生は「池袋モンパルナス展 画家たちの交差点」の作家たちとは少し時代が異なるため、展覧会では紹介されませんでしたが、熊谷守一先生も当時は若い作家と交流したり、展覧会の挨拶文を書いてあげたりしていたようです。

瀬戸での展覧会とあわせて、こちらもぜひお出かけくださいませ。
皆様のお出かけを楽しみにお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.08

《ブログ》画家の三筆 熊谷守一・高村光太郎・中川一政の世界展(富山県水墨美術館)

本日、富山で熊谷守一先生の関連展がはじまりました。

「画家の三筆 熊谷守一・高村光太郎・中川一政の世界展」、
富山県水墨美術館さんにてひらかれる墨の名品展です。

熊谷守一、高村光太郎、中川一政、
どなたも巧い作品をかこうとするのではなく、自分らしく、気持ちのままに筆をとられた方たちという印象があります。
熊谷守一作品からは、墨彩画の三毛猫や、白洲正子さんが旧蔵されていた書《ほとけさま》が出品されるそうです。《ほとけさま》は白洲さんのエッセイなどにも良く出てくる書で、ファンが多い作品ですね。東京の武相荘さん(旧白洲邸)が所蔵されていますが、たくさんの作品をお持ちの施設で、常設展示作品ではないので見られる機会がなかなかない作品だと思います。(もしかしたら紙の作品なので保存の観点からあまり展示されていないのかもしれません。)

ちなみに「画家の三筆」ですが、画商の先輩からは「熊谷守一・梅原龍三郎・中川一政」説も聞いたことがあります。梅原先生も流れるような、とろけるような ” 梅原先生らしい ” 書をかかれるので、機会があればこちらの「画家の三筆」も見てみたいですね。

***

《展覧会詳細》

「画家の三筆 熊谷守一・高村光太郎・中川一政の世界展」
富山県水墨美術館(富山県富山市)
10月8日から11月28日まで

美術館公式ウェブサイト
https://www.pref.toyama.jp/1738/miryokukankou/bunka/bunkazai/3044/index.html

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.07

文化の日 熊谷守一・香月泰男展(10/7~11/7)

本日より秋の展覧会をはじめさせていただきました。
「文化の日 熊谷守一・香月泰男展」です。

今年は、熊谷守一先生の油彩画6点、香月泰男先生の油彩画8点による展覧会となりました。
巨匠の油彩画ばかりが揃った展覧会ですので、いつもよりも重厚な雰囲気です。

熊谷作品は小さな生きものや花のモチーフが、
香月先生は母子や太陽、シベリアを思わせる作品や、海外の風景作品のモチーフが、
それぞれ揃っています。

また、会期途中の10月16日から24日にかけては、ショーウィンドウにて「第15回岐阜アートフォーラム:コネクト展  Ⅱ」協賛の「小笠原宣展示」をおこないます。
小笠原宣先生の洋画2点、今回新たに作られた版画2点を展覧予定です。

皆様のご清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.10.04

《ブログ》映画の絵画作品

映画鑑賞は美術鑑賞と同じくらい、私の大好きな趣味の一つです。
映画を観る楽しみの一つに、アート作品の楽しみがあります。
アートは、一瞬の画面でその主人公の社会的地位や人柄、歴史的な意味や場所の連想などを伝えてくれます。

海外映画のヨーロッパの古いお屋敷の場面では、お約束のように100号越えの大きな肖像画や婦人の美しい肖像画が、階段・廊下にずらりと飾られ、お屋敷の歴史を感じさせてくれます。
また、重厚なお屋敷の居間には、コローやレンブラントらしい作品がさりげなく飾られ、華やかなパーティー会場場面では、ダリ・キリコ・ピカソ・ウォーホルなどモダンな絵画作品やムーア・ザッキンなどの彫刻作品がさりげなく部屋のあちらこちらに飾られていて興味深く観ています。

さて、少し前の映画ですが、クリントイーストウッド監督の「ジャージー・ボーイズ」を観ました。
アメリカのポップスグループの友情と不和、栄光と転落の物語でした。とても良い映画でした。
映画前半の画面で、豪華なパーティーシーンがあったのですが、1959年の設定場面で、アンディー・ウォーホルの「キャンベルのスープ缶」作品が飾られていました。
1959年にこの作品は存在したのかしら??。
「重箱の隅をつつく嫌な奴だ」と大好きなイーストウッド監督から睨まれるかもしれませんが、気になって仕方がありません。
大げさに言えば、「大岡越前」のお白洲にコカ・コーラの赤いロゴ缶が落ちているような気分です。
さっそく調べてみましたら、やはり「キャンベルのスープ缶」は1962年に制作されていました。

映画監督様へ、現代美術の作品を映画で使われるときはご注意くださいませ(^^♪
アートと映画を愛するファンより

市川たけよ

カテゴリー

最近の投稿

アーカイブ