柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

   

画廊ブログ「絵画のたのしみ」

2022.01.13

《作品紹介》脇田和 油彩画 鳥

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品を御案内申し上げます。

久しぶりに 脇田和先生 の作品が手にはいりました。
脇田作品を代表するモチーフ・鳥の油彩画作品です。

脇田先生は1908年東京生まれ、
2005年にお亡くなりになるまで97年間の長い生涯を過ごされました。
お父様が当時珍しかった貿易商社を都内で営んでいたため、脇田先生も青山学院中等部のころから絵の手ほどきをうけるようなモダンな家庭で育っています。10代半ばでドイツに渡ると、ベルリン国立美術学校で 人体デッサン、遠近法、解剖学を学び、帰国後は個展や団体展で活躍しました。

さまざまなモチーフを手がけた脇田先生ですが、
やはり一番魅力があらわれているのは、中期から後期にかけて描かれた鳥のモチーフだと思います。
友人の彫刻家から一羽の鳥を贈られたことをきっかけに、脇田先生のご自宅にはたくさんの鳥が飼われていたそうです。脇田先生の作品には赤い鳥、青い鳥、白い鳥、いろいろな鳥がいます。
いま、弊社では赤と紫のなかを飛ぶ白い鳥を展示しています。

尚、軽井沢には脇田先生の美術館「脇田美術館」もございます(上のお写真の館です)。
脇田先生がご生前に思いをこめてつくった美術館で、建築家の吉村順三先生が設計された素敵なミュージアムです。軽井沢駅から旧軽井沢銀座通り方面に向けて歩いていくと、15分ほどでモダンな脇田美術館が見えてまいります。

いまはコロナの影響でなかなか旅行が難しいですが、以前は休みのたびにあちこちの美術館に出かけていました。軽井沢エリアは他にもセゾン現代美術館、田崎広助美術館、千住博美術館、少し車で走ると小山敬三美術館など、ミュージアムエリアですので何度も訪れた思い出があります。
早くコロナが落ち着いて、旅行に気軽に出かけられるようになるといいですね(*^^*)

***このブログに登場した美術館・詳細***

美術館名:脇田美術館
所在地 :長野県軽井沢町
脇田美術館・公式ウェブサイト
http://www.wakita-museum.com/index.html

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2022.01.10

《作品紹介》山口薫 油彩画

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品を御案内申し上げます。

今年の新春展では、山口薫先生の油彩画の名品2点が揃いました。
どちらもコレクターのお客様のお探しの多いモチーフです。

山口先生は岐阜出身と縁があり、岐阜出身の矢橋六郎先生とは美術学校受験のために通った画学校以来の親友でした。岐阜ゆかりの村井正誠先生とも一緒に美術団体を立ち上げたりしています。
全国的な巨匠のため、山口作品は多くの美術館でコレクションされていますが、岐阜県美術館さんではとりわけ展示されていることが多いような気がします。今もちょうど《画室の森》という美しい中期の大作が展示されているはずです。

山口先生はお若い頃は具象的な絵を描いていらっしゃいましたが、次第に抽象的な画面に移っていきます。先生のアトリエを訪問した方によると、壁には自作の詩や短歌、俳句、つぶやき、芸術論のようなもの、制作のおぼえがき、心に残った古い歌などが紙に書かれて無数に留められていたそうで、作品も音楽が聞こえるようなロマンティックな雰囲気が感じられます。

今回の作品はどちらもそうした山口先生の美しさがよく出ています。

また、1964年に山口先生は母校である東京藝術大学教授に就任していますが、教授としての「山口先生」も生徒に慕われるタイプの先生だったようで、教え子の方のエッセイなどでお人柄が書かれているのを見かけたことがございます。
絵にもそうしたお人柄が出ているような気がいたします。

本展では山口薫先生と同時代の画家・難波田龍起先生の作品も展示いたしております。
お時間がございましたらお出かけください。

 

柳ケ瀬画廊 市川たけよ 市川瑛子

2022.01.09

《ブログ》兵庫で熊谷守一映画が上映されます

熊谷守一先生の映画「モリのいる場所」上映情報をお知らせします。

兵庫県三木市の「三木市立図書館(吉川図書館)」さんで、
1月16日(日)13時30分から「モリのいる場所」の上映会があるそうです。

熊谷守一役を山﨑努さんが演じ、奥様の熊谷秀子役を樹木希林さんが演じた映画です。
晩年の熊谷邸をイメージして、日常をくすっと笑えるシーンも挟みつつ つくられました。
2018年の公開作品です。

ただ、新型コロナウイルスで上映予定が変更になる場合もあるかと思います。
お出かけの際は下記の図書館ホームページをご覧になってから、ご参加になられたほうが安心かもしれません。

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三木市立図書館(吉川図書館)行政ホームページ

https://www.city.miki.lg.jp/site/library/6935.html

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柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2022.01.09

《作品紹介》三岸節子 花

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品を御案内申し上げます。

三岸節子先生の赤い花の油彩画を展示しています。
お隣の愛知県に一宮市三岸節子記念美術館さんがあるため、岐阜の人にもなじみの深い女流画家の作品です。

三岸先生といえばエネルギッシュな画家!
まだ戦前の、男性の画家でも洋画で生活していくことが難しかった時代に、父を説得し、遠縁を介して洋画家・岡田三郎助を紹介してもらい絵を学び始めたというスタートから 三岸先生の生来の強さを感じます。戦争が終わってからも、1954年に初めてヨーロッパに行くと一時期は南仏に居を移して 異なる風土での制作に熱中し、再び日本に戻ると美しい神奈川県・大磯の地にアトリエを構えて多くの名品を描きました。

今回展示している作品も、大磯時代に描かれた作品です。
この作品が描かれる少し前、三岸先生はエッセイ『黄色い手帖』のなかで次のように書いています。

「私はいま燃えている焔のような絵が描きたい。どっしりと力があって、荘重で、厳格で、それでいて血汐の滾る、真紅に燃えている作品をつくりたい。沸騰する情熱、カドミュウム・オレンジ、ヴェルミリオン、プルプル、私は赤い色が大好き、私の絵はみんな赤い。赤一色である。」

三岸先生の花は自画像ともいわれています。

展示中の作品はとりわけ花の赤色の絵具が厚く、力強くて、三岸先生の魅力が良く出た作品だと思います。ぜひ画廊にて実作品をご覧になってみてくださいませ。

この三連休も展覧会は開催しています(*^^*)

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2022.01.08

《作品紹介》中川一政 薔薇

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品を御案内申し上げます。

本展覧会では、画廊の正面に中川一政先生の薔薇の名品を展示いたしました。
今回の展覧会の案内状掲載作品です。

中川先生といえば、薔薇や駒ヶ岳を、力強いタッチと美しい色の取り合わせで描いた近代洋画の名手ですね。その画業をまとめた画集『中川一政 油彩全作品集』も美術出版社から刊行されています。

明治26年に東京で生まれた中川先生は、平成3年に神奈川の湯河原で亡くなるまで、97歳まで長生きされて多くの作品をえがきました。
先生が幼少期を過ごした場所は、東京帝国大学に隣接していたことから多くの学者や文学者が暮らし、”学者町” と呼ばれた地だったそうです。その影響でしょうか、中川先生も油彩画を軸にしながら、墨彩画や書画、茶道具、和歌、エッセイの名手としても幅広く活躍されています。

そんな中川先生が特に後半生に多く描いた油彩のモチーフが ”薔薇” でした。
時代ごとに、薔薇のタッチや表現の仕方、壺やテーブルの描かれ方が様々ありますが、今回柳ケ瀬画廊に展示している薔薇は薔薇の一輪ずつに筆が乗り、みずみずしさがあります。花が活けてある壺も、近くで見ると柔らかい風景の模様が浮かび上がり、画面を引き立てています(*^^*)

今年の年始、お客様から一政先生の著書『うちには猛犬がゐる』をお借りして読んでいました。
中川先生が好きなこと、交流のあった人々のこと、旅した国内外のことなど、様々なお話が載っていますが、そのなかに壺についてのお話が何度か登場していました。どこに行って壺を買ったとか、壺を描くときはこんな気持ちであるとか…中川先生にとって壺という存在もとても重要だったのだなと感じさせられます。
中川先生には神奈川に真鶴町立中川一政美術館、石川に白山市立松任中川一政記念美術館、ふたつの美術館がございます。真鶴の美術館では、以前お邪魔した時に中川先生が所蔵している壺の展示がされていて、とても面白かった思い出があります。

本日からは新年はじめての三連休です。
三連休も柳ケ瀬画廊の新春逸品展は開催していますので、お時間ございましたらぜひお出かけくださいませ。中川先生の作品は、画廊にはいって正面の壁に飾ってございます。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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