柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

   

画廊ブログ「絵画のたのしみ」

2022.06.19

《ブログ》散華

昨日、夕方のニュースを見ていたら、
【法隆寺 境内整備にクラウドファンディング一日で目標額の2倍に】が報道されていました。

コロナ禍で参拝者が減少してしまった法隆寺さんが、境内整備費用を集めるために、2000万円のクラウドファンディングを行ったそうです。
目標額の2000万円がたった半日で集まってしまうなんて、さすが法隆寺さんですね。

このクラウドファンディングでは、寄付してくださった方のために多彩な返礼品も揃っているそうで、そのなかで「散華」も紹介されていました。
美術業界ではたまに聞かれる「散華」は、蓮の葉の形の紙に絵や文字が書かれた紙です。ほとけさまや菩薩さまが来迎したときに華が降った故事にちなんで、寺院で法要が行われる際に蓮などが撒かれていたものが、紙で代用されるようになったことが由来といわれています。

散華の原画は多くの画家が手掛けていて、熊谷守一先生も薬師寺さんからの依頼で手掛けています。
散華のコレクターの方に見せていただいたら、蝦蟇や花などの、法要を彩りそうな華やかな散華でした(*^^*)

今回の法隆寺さんの散華も、安田靫彦先生、前田青邨先生、平山郁夫先生、吉岡堅二先生、吉田善彦先生など、名だたる日本画家の作品をうつした散華になっているそうです。画家のファンや、散華ファンを喜ばせそうですね。

法隆寺さんのクラウドファンディングは7月29日まで続くそうです。
気になる方はご覧になってみてはいかがでしょうか♬

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2022.06.18

《作品紹介》山口薫 油彩

柳ケ瀬画廊では『身近な美術品展』を開催中です。
近代洋画から現代アートまで、24作品ほどを展覧しています。

新しく山口薫先生の作品が2点はいりました。

いずれも1960年代に描かれていて、
この時期の特徴の淡い色彩の美しさや、抒情的な構図が魅力です。
山口作品の魅力がぐっと詰まっていて、ファンの方には嬉しい作品ではないでしょうか。

山口先生は若い頃から技量と色彩の扱いに優れ、東京美術学校西洋画科では特待生にも選ばれています。
その後、ヨーロッパに渡り、ゴーギャンやマティス、セザンヌなどを見て過ごし、帰国後のしばらくは具象絵画も描きましたが、間もなく抽象絵画に、サンパウロ ビエンナーレやヴェネツィア ビエンナーレにも出品するモダンアートの名手になっていきます。そして、抽象や色彩が淡く澄んでいき、穏やかだったと言われる性格がそのまま画面にあらわれたような作品にあらわれていきました。

今回の作品は、山口先生が体を壊してしまう前の、晩年に多くの作品を手掛けていた時期の作品です。

春にも柳ケ瀬画廊では二頭の馬の油彩画を扱いました。
ここ数年、あまり山口作品とご縁がなかったのですが、不思議なもので一枚手元にやってくると仲間を呼ぶように他の作品とのご縁が広がることがあり、今回はそのようにして集まってきた作品です。とても好きな作家のひとりですので、画廊で毎日見られることがとても嬉しいです(この仕事の役得ですね(*^^*)。

作品は画廊の正面に二枚揃えて飾っています。

お時間ございましたらぜひご覧にいらしてくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ち申し上げております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

 

2022.06.16

身近な美術品展(6/16~7/10)

本日より柳ケ瀬画廊では
「身近な美術品展」を開催いたします。

岐阜ゆかりの画家から現代アートまで、多彩な15作品を揃えました。
皆様の御清鑑を心よりお待ち申し上げております。

《出品作家》
石垣定哉、尾崎良二、熊谷守一、熊谷榧*、
小磯良平*、小杉小二郎*、佐藤暢男*、
篠田桃紅、田村幸帆、元永定正、矢橋六郎、
山口薫、イカール*、ピカソ*
(*は版画作品のみの出品)
(順不同・敬称略・追加変更あり)

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2022.06.13

《ブログ》看板の退色

街を歩いていますと、様々な看板が眼に入ってきます。
どの看板も目を引くために、コントラストの強い、派手な色の組み合わせです。
それらの看板を観察しますと、一枚の看板なのに、黄色は退色が激しいのに黒はあまり変わらないことがよくありませんか?
それは色の化合物の結合の強さで、「イエロー  <  マゼンタ  <  シアン  <  ブラック」と 黄色が一番退色しやすいと本に載っていましたので、そうなんだと理解していました。

しかし!!長年とても疑問に思っていたことがありました。
住宅街の古い家の壁に「神は死んだ」「罪を悔い改めよ」など黒と黄色の看板が貼られているのをご覧になったことはありませんか?
その看板の黄色や白色の文字が退色しているのを見たことが無いので、
ずっと不思議に思っていました。
その疑問の答えがふと観たテレビ特集で解決しました。
その特集では、布教活動のためその看板を貼ったり、古くなったものを取り換える為、全国を車で周っている宗教活動家の特集番組でした。
あの一連の看板が退色しない秘密は、なんと、、、
布教のための大切な文字が退色して汚く剥げてしまわないために文字を書いていないからでした。

黄色や白色の鋼材の板に文字だけ残して周りを黒く塗る、逆ステンシルの技法で制作されていました。
文字が書いてあるとばかり思ってましたら文字は書いてなかったのです。
素晴らしい発想 !!  (もしや皆さんはご存じだったかも)と長年の疑問がすっきり解決しました。

今度お散歩中に看板を見かけたら、近づいてじっと見てみようと思います。
絵画に関係のない話題ですいません (^^;)

 

柳ケ瀬画廊 市川たけよ

2022.06.12

《ブログ》「布の庭にあそぶ 庄司達」、甲斐庄楠音(名古屋市美術館)

先日、名古屋市美術館さんで開催中の、
『布の庭にあそぶ 庄司達』展に出かけてまいりました。

岐阜の方にとっては『第9回円空大賞展』(2018年開催)で、
「円空賞」を受賞された造形作家として馴染みがあるかもしれません。

庄司先生は布を用いて、空間に変化を与える試みを続けている作家です。
愛知を拠点に50年以上、活動を続けています。
最初は、ハンカチが舞う様子を見て着想を得たそうです。

展示室では、作品に触ったり、作品の中や下を歩いてみたり、
庄司作品の空間に入ることのできるものもありました。
展示室の案内人の方が「触ってみてください」「中を歩いてみてください」と親切に教えてくれます。

出かけた日は天気がよかったので、作品の影も綺麗に見えていました!
お日様の加減や、雨や曇りなどの天候で変わった姿も見られたら楽しそうです。

*****

展覧会のチケットでは、地下1階にある「コレクション展」も鑑賞できます。

藤田嗣治、荒川修作、シャガール、ユトリロ、ステラ…
油彩画から現代アートから立体作品まで幅広い名品を楽しめます。
名古屋市美術館はメキシコ美術にも力を入れているので、あまり見る機会のないメキシコの巨匠たちの作品(フリーダ・カーロなど!)も展示されていて、彼ら彼女らのエネルギーに見るたびに驚かされます。

「常設展示室3」では、新収蔵品の紹介もされていました。
甲斐庄楠音の作品5点が展示されています。
デロリと表現されるような独特の女体表現で知られる日本画家です。

これらの甲斐庄作品の旧蔵者は「熊澤五六」氏だったと解説で書かれていました。
熊澤氏は医師で日本画家の熊沢古篷の第四子であり、愛知県商品陳列館に勤務し、徳川美術館の館長もつとめた人物です。名古屋市美術館が開館した時に甲斐庄作品18点を預けてくれていたそうで、このうち16作品が2021年に寄贈されたため展示されているとのことでした。

熱狂的なファンもいる甲斐庄作品がまとめて見られるなんて嬉しいですね。
他にもこの部屋には海老原喜之助作品や野見山暁治作品なども展示されていました。

*****

柳ケ瀬画廊でも「初夏の常設展」を開催しています。
また、来週からは「身近な美術品展」がはじまり、熊谷守一、篠田桃紅、元永定正など15作品ほどを展覧予定です。
お時間ございましたらこちらもぜひ遊びにいらしてくださいませ。

 

***ご紹介した展覧会の詳細***

展覧会名:「布の庭にあそぶ 庄司達」
展覧会期:4月29日(金・祝)から6月26日(日)まで
展覧会場:名古屋市美術館
名古屋市美術館・公式ウェブサイト
https://art-museum.city.nagoya.jp/

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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