2025.06.19
《ブログ》こどもミュージアム2025(一宮市三岸節子美術館)
柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
国内外の巨匠・大家の作品21点を展示中です。
今回の展覧会では愛知出身の洋画家・三岸節子の油彩も飾っています。
エネルギッシュで、見ていて明るい気持ちになれるような花の作品です。
三岸の出身地である愛知県一宮市には、
「一宮市三岸節子記念美術館」さんもございます。
7月13日まで「ベストセレクション展」として、来館者の方たちの投票で選ばれた作品による三岸節子名作展示が行われています。弊社のお客様でもお出かけになられた方が何人かいらして、改めて三岸作品をゆっくり見たけどやっぱり素敵だねとのお話をたくさん聞かせていただけました。
そんな三岸節子記念美術館さんですが教育普及にも大変力をいれていらっしゃいます。
「せつこっこクラブ」という名前をつけて、主に中学生以下のお子さんたちを対象に、ベビーカー鑑賞会や、アーティストとの交流会、時には石を叩いて割ってみようという体験イベントまで開催され、アートと子供たちとの距離を縮めています。
今年は三岸節子生誕120節目の年なので、来月7月19日から「こどもミュージアム2025」として様々なイベントを開催するそうです。
6月25日からの事前応募の必要なイベントもございますので、お子さんやお孫さん、身近な小さなご家族のいらっしゃる方はいかがでしょうか。
案内の記載されたチラシは柳ケ瀬画廊店頭にて配布しています。
お気になられましたらご来廊の際にお持ちくださいませ。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.14
《作品紹介》三岸節子 花
柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
6月29日まで、巨匠・大家による21作品を展覧いたします。
展示作品のご紹介です。
三岸節子の10号大の黄色い花を飾りました。
エネルギッシュで、見ているこちらまで華やかな気持ちになれるような油彩画です。
三岸作品は制作年のほかに制作月も分かることが多いのですが、
本作品も5月の初夏の時期に描かれたことが分かっています。
一度目の渡仏と、二度目の渡仏の合間に神奈川県の大磯にある海の見える山荘に転居して、野菜は自分で家庭菜園で作り、お気に入りの花を栽培して作品に登場させるなどしていた頃の作品です。
三岸の花の描き方は少し独特で、自著のなかで「花の絵を描く時も(中略)最初にイメージするのは形ではなく黄、青、白といった色なんです。形は色を追求していく間に出てくるんですね」と語っています。
花の中ではミモザの姿も愛して「なんて美しいでしょう」などとおっしゃっていましたが、三岸作品の花は三岸の心の中から生まれる花なので特定の品種ということはないそうです。
日々の生活のなかで体や心のなかからあふれたイメージなので、三岸作品はどれも明るく元気で、見ている私たちも幸せな気持ちにしてくれるのかもしませんね。
作品は6月29日まで開催の秀作鑑賞展に展示しています。
お時間ございましたらぜひご覧くださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.12
《作品紹介》山口薫 油彩画 牛
柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
国内外の大家・巨匠の作品23点を展示中です。
展示作品のご紹介です。
画廊の正面横の壁に山口薫の牛の油彩画を飾りました。
山口薫は黒田清輝や浅井忠らの洋画黎明期の世代の教え子世代の 熊谷守一や藤田嗣治らのさらに次世代の、この地方ですと荻須高徳や三岸節子らといった画家たちと同世代の人物です。
東京美術学校で学び、60年の生涯で数多くの作品を手掛けました。
群馬県の自然豊かな地に生まれ、故郷を愛していたため、山口作品には牛や馬、森、沼など故郷に関わるモチーフが多く登場します。また、1930年代にそれまで描いていた写実から抽象的な作品に近づき、抽象そのものの世界に行くことはありませんでしたが、具象と抽象の狭間にいるような、レースのカーテンで何層にもなった世界を描くような作品を作り上げていきます。
今回柳ケ瀬画廊で展示している作品は、そんな山口の故郷を感じる牛のモチーフが、具象的であり抽象的でもあり描かれた油彩画です。
この頃の山口はヴェネツィア・ビエンナーレに出品するなど、国際的な舞台でも展示されるような作家になっていて、50代の脂の乗った時期を楽しんでいました。
牛の背景には太陽も描かれており、多彩な色彩を用いて輝く太陽の姿には画家の充実っぷりも伺えます。
作品は6月29日まで開催の秀作鑑賞展に展示しています。
お時間ございましたらぜひご覧くださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.09
《ブログ》中日新聞さんに展覧会をご紹介いただきました
柳ケ瀬画廊では秀作鑑賞展を開催中です。
昨日6月8日の中日新聞さんでは、
展覧会の様子を取り上げていただきました。
記事でも紹介してくださっていますが、年に一度の秀作鑑賞展では美術館でも出会えるような巨匠や大家の作品を揃えて展示しています。
美術館は非日常の空間で、それぞれの画家と静かに向き合うことができることに対して、画廊はより日常に近い空間ですので、肩の力を抜いてリラックスして鑑賞していただける楽しみがあると思います。同じ画家の作品でも印象が変わってくるかと思いますので、ぜひ美術館だけでなく画廊でもアートと触れる機会を楽しんでいただけましたら幸いです。
現在10名の画家による23作品を展示しています。
熊谷守一、香月泰男、山口薫、東郷青児、三岸節子、棟方志功、鳥海青児、堀太郎、ピカソ、ローランサンの作品を鑑賞いただけます。6月29日(日)までの開催です。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.06.08
《作品紹介》マリー・ローランサン
柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
国内外の大家・巨匠の作品23点を展示中です。
展示作品のご紹介です。
久しぶりにマリー・ローランサンの作品が入りました。
花冠をかぶった女性の表情を瑞々しく描いた水彩画で、タイトルが日本語で「かわいい」という意味をしています。
ローランサンはフランス・パリで生まれ、10代の頃にお針子をしていた母からティーカップの絵付けをするように言われ、その絵がうまかったことから美術学校に入り、ブラックやピカビアなど同時代のアーティストと出会い活動を始めた女性です。
ピカソもローランサンを評価したひとりで、作品を購入したほか、当時大きな意味を持っていたニューヨークで開かれるアーモリー・ショーへの推薦作家のひとりとして彼女を推しています。ただ、ふたりは親しくはあり、ローランサンもキュビスムの影響を受けますが、画風の面ではローランサンはピカソに接近しすぎることなく自分のスタイルを守りました。そうして「自分らしさ」を考え続け、独自のスタイルを築いたローランサンの作品は、パリの上流階級の女性たちの間でローランサンに自画像を描いてもらうことが流行となるほどの人気となっていきます。
活動の幅も広く、舞台装置や衣装デザインも手掛けています。ココ・シャネルとの交流も有名ですね。
1883年のお生まれなので、日本人の熊谷守一や藤田嗣治らが同時代を生きています。
ローランサンが「なぜ死んだ魚や玉ねぎ、ビールグラスを描かねばならないのでしょう。女の子の方がずっと可愛いのに」といって女性像を多く手掛けたエピソードなどは、熊谷守一が切り花を死んだ花だから描きたくないと言っていたことにも重なります。どちらも生きているもの、瑞々しいいのちを描いた作家です。
ローランサンの婦人像は画廊の正面手前に飾っています。
また、今回の秀作鑑賞展では、棟方志功の妙肌韻板画柵シリーズや、東郷青児の女性像も展示していますので、女性の作品に囲まれた画廊となりました。同じ女性像でもそれぞれの画家によって、まとう空気が異なっていますので、ぜひ画廊にて見比べてお楽しみいただけましたら幸いです。
柳ケ瀬画廊の秀作鑑賞展は6月29日までの開催です。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子