柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

   

画廊ブログ「絵画のたのしみ」

2021.12.10

《ブログ》岐阜市新庁舎のモニュメント

散歩が好きで、画廊がお休みの日は よく市内を歩いて散策しています。
岐阜はパブリックアートが多く、他県の画商仲間の先輩からも「岐阜は彫刻好きな人が多い」と言われたことがあるほどですので、歩いていると たくさんのアートに出会えて楽しいです。

有名なパブリックアート群は、名鉄岐阜駅から柳ケ瀬商店街に続く彫刻群でしょうか。
昔、岐阜市の神田町通りにアーケードが新設されるにあたり、関連事業として「モニュメントづくり委員会」が設立され、13作家を選び、1994年度から1995年度にかけて作品が設置されました。
諸般の事情で1作品は今は見ることができませんが、今でも小清水漸、星野暁、林武史などの国際的に活躍する彫刻家たちの12作品を歩きながら楽しめます。

そんな「彫刻のまち・岐阜市」ですが、先日 ひとつの作品の作家がわかりました。
上記画像の作品です。以前は岐阜市役所前の時計台のお隣に設置されていて、今は岐阜市新庁舎のバス停の北側附近の歩道にある「岐阜市平和都市宣言モニュメント」という作品です。
流れるような曲線が綺麗な作品ですが、作家名・作品名が書かれていないため、ずっと「どなたの作品だろう」と疑問に思っていました。しかし、岐阜市在住の彫刻家・衣笠文彦先生とお話していたときに、ふとお尋ねしたところ自分の作品だと教えてくださって長年の謎が解けました。

その後、衣笠先生が当時の資料などを見せてくださって、貴重なお話も聞かせてくれました。
このモニュメントは、岐阜市が市政100周年の1988年に「平和都市宣言」を行うにあたり、衣笠先生がプランを出したところ趣旨に合っていたようで制作することとなった作品だそうです。「平和都市宣言」が1988年であることから、彫刻の高さも1988mmにあわせて作られているとのことでした。
また、私はずっと「流れる水のイメージ」だと思っていましたら、先生によると「両方からあつまって上にあがっていくイメージ」で制作されたそうです。改めて鑑賞してみると、下の部分のそれぞれの線の端がまとまっているのに対し、上の部分はさまざまな高さで表現されていて、確かに下に落ちるというより上にあがっていくイメージだなと感じます。
ピタッとくると不思議なもので、下から上にあがっていく動きが見えるようで面白いです。

彫刻の見方や、面白さを感じる作品だと思います。
岐阜市新庁舎やメディアコスモスのある岐阜市中心市街地に設置されている作品ですので、近くにお出かけの際はぜひ探してみてくださいませ。

メディアコスモスさんではいま、熊谷守一展も開かれています(*^^*)

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.12.04

《ブログ》岐阜市主催の熊谷守一展がはじまりました

本日、岐阜市主催の熊谷守一展がはじまりました。
会場は、柳ケ瀬画廊から歩いて15分ほどの「ぎふメディアコスモス」さんです。

メディアコスモスさんでは2017年にも「没後40年 熊谷守一展」が開かれていますね(*^^*)
2017年のときは熊谷先生の油彩画・日本画・書・写真などが時系列順・分類順に展示されていたオーソドックスな回顧展でしたが、今回の2021年版は「人間・熊谷守一」に注目して、遺品や関連作品が数多く展示されていました。

岐阜市は熊谷先生が3歳から17歳を過ごした場所のため、市所蔵作品も何点か存在しています。
そのため、本展でも、よく会見などで柴橋市長さんと市長応接室で一緒にうつっている油彩画《朝日》や、岐阜市初代市長であり熊谷先生のお父様でもある熊谷孫六郎氏を描いた油彩画《父の像》などが展示されていました。また、熊谷先生が後半生を過ごし、いまは豊島区立熊谷守一美術館のある「東京都豊島区」さんがご所蔵されている遺品類が80点以上展示されていることも熊谷ファンには嬉しいポイントです。

 

また、今回は関連展示として、岐阜市所蔵の美術品の展覧もされています。
弊社でも取り扱っている川合玉堂先生の山水画、山川利夫先生の群像モチーフのほか、岐阜ゆかりの坂井範一先生、坂倉新平先生、北川五郎先生などが飾られていました。ほかにも、加山又造先生や川端龍子先生、山口蓬春先生など 全国的な巨匠の日本画も。
確か市所蔵作品は20点前後展示されていて、なかなか普段は公開されない作品群ですので、お好きな方はこの機会にお出かけになると楽しめるかと存じます。

柳ケ瀬画廊でも、「熊谷守一・五味太郎 小さな生きもの版画展」を開催中です。
熊谷先生の版画10作品、五味先生の版画10作品のほか、油彩画や書など4点ほども展示しています。
メディアコスモスさんの熊谷展をご覧になったあとは、ぜひ画廊にもお立ち寄りくださいませ(^^)
皆さまのご来廊を心よりお待ちしております。

 

***展覧会詳細***

展覧会名:~岐阜、豊島 ゆかりの地をつなぐ~ 熊谷守一展
展覧会期:12月4日(土)から12月19日(日)まで
展覧会場:みんなの森 ぎふメディアコスモス 1Fギャラリー
熊谷守一展・公式ウェブサイト:
https://www.city.gifu.lg.jp/kankoubunka/event/1005353/1013403.html

***柳ケ瀬画廊での関連展のお知らせ***

展覧会名:熊谷守一・五味太郎展
展覧会期:11月25日(土)から12月19日(日)まで、火曜水曜休廊
展覧会場:柳ケ瀬画廊
柳ケ瀬画廊・ウェブサイト:https://yanagase-web.com/

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.11.26

《ブログ》わかやまけんさんの切手が発売されます

明日、岐阜ゆかりの絵本作家の切手が発売されます。
岐阜県岐阜市出身の「わかやまけん」さんの切手です。

「絵本の世界シリーズ第5集」として、わかやまさんの絵本『しろくまちゃんのほっとけーき』の各場面が採用されると郵便局さんのホームページに書かれていました。

***

郵便局「絵本の世界シリーズ」紹介ページ
https://www.post.japanpost.jp/kitte/collection/archive/2021/1126_01/

***

限定の特殊切手なので私も早めに買い求めに行こうと思います(*^^*)
お手紙を書くことが楽しみになりますね。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.11.25

熊谷守一・五味太郎 小さな生きもの版画展(11/25~12/19)

本日より冬の展覧会をはじめさせていただきました。
「熊谷守一・五味太郎 小さな生きもの版画展」です。

今回は、熊谷先生と五味先生の絵本掲載作品の版画を中心に展覧しています。
熊谷先生の絵にあわせて作られた絵本『はじまるよ』(福音館書店)、五味先生の絵本『てんしさまがおりてくる』(ブロンズ新社)『もみのき そのみを かざりなさい』(アノニマ・スタジオ)からの作品が中心です。
熊谷作品10点、五味作品8点、いずれも生きものモチーフの版画で揃えました。

熊谷作品からは蟻、猫、蝶、鳥などを、
五味作品からはうさぎ、きりん、らいおん、ふくろうなどを、
年末年始のご自宅での時間がたのしくなるような、愛らしい図柄を取り揃えています。

12月19日(日)までの開催です。
皆様のご清鑑を心よりお待ちしております。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2021.11.13

《ブログ》浜田葆光と熊谷守一(愛知県美術館・常設展示室8)

いま、愛知県美術館さんで 熊谷守一先生の特集展示がひらかれています。
同時期に開催されている曽我蕭白展と同じ会期で、常設展示室8でひらかれている「木村定三コレクション 浜田葆光と熊谷守一」という特集です。熊谷先生の作品13点ほどが鑑賞できました。

熊谷守一先生というと、東京に豊島区立熊谷守一美術館が、岐阜に熊谷守一つけち記念館があることから、この2つの地がゆかりの場所として知られていると思います。

しかし、愛知県美術館さんも200点以上の熊谷作品をコレクションしていることをご存知でしょうか。愛知には 古今東西の美術品をコレクションしていた美術愛好家・木村定三さんという方がいて、3000点以上の美術品を(それも名品ばかり)愛知県美術館さんに寄贈されたのですが、そのなかに200点もの熊谷作品も含まれていました。
木村さんは熊谷芸術の熱心な支援者でしたので、初期から晩年にかけての重要な作品の多くが、愛知には収蔵されているのです。

そのご縁で、愛知県美術館では毎年熊谷特集が組まれています。
熊谷ファンにとっては年に一度の楽しみです。

今回は熊谷先生が画家として日本画を描きはじめるきっかけとなった「浜田葆光」という画家にスポットを当てた特集がひらかれていました。
浜田葆光先生は熊谷守一先生の描いた日本画に魅力を感じ、日本画の展覧会を開くようにすすめた人物です。彼の手配もあって熊谷守一日本画展がひらかれ、絵が売れるようになり、熊谷家の生活が安定して絵を落ち着いて描けるようになったので、熊谷芸術の恩人ともいえるかもしれませんね。

展覧会では、浜田先生と熊谷先生のご縁や、そこから広がる武者小路実篤先生や志賀直哉先生といった白樺派との交流、そして浜田先生の活躍した奈良画壇について、作品と資料で回顧されていました。
武者小路先生は、柳ケ瀬画廊の先代社長に熊谷先生をご紹介くださったご縁もございます。

アートだけでなく、文学や文化人の交流に関心のある方にとっても楽しめる展示だと思います。奇想の絵師・曽我蕭白の展示とあわせて、藝術の秋のお出かけにいかがでしょうか♬

***展覧会詳細***

展覧会名:木村定三コレクション 浜田葆光と熊谷守一
展覧会期:10月8日(金)から11月21日(日)まで
展覧会場:愛知県美術館
愛知県美術館・公式ウェブサイト
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/

 

***柳ケ瀬画廊での関連展のお知らせ***

柳ケ瀬画廊でも現在、熊谷守一先生を中心とした常設展を開催しています。
熊谷作品からは、14点(油彩画2点、日本画5点、書2点、版画5点)を展覧中。
開廊日:常時(火曜、水曜休廊)
柳ケ瀬画廊・ウェブサイト:https://yanagase-web.com/

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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