2025.07.10
《作品紹介》村上華岳 日本画 二作品
柳ケ瀬画廊では夏の常設展を開催しています。
久しぶりに村上華岳の作品が2点入りました。
どちらも軸装で、ご遺族の鑑定箱に納められています。
一作品が舞妓、もう一作品が菩薩様です。
華岳といえば「線」が特徴的で、流れるような美しい線描で様々なモチーフを描きました。
舞妓は20代半ばから30代半ばの大正期に多く描かれたモチーフで、全国の美術館などで見ることもできます。色鮮やかな作品が多いことも特徴のひとつで、今回展示の作品も舞妓の白い肌に着物の赤・緑の色が映えて印象的な姿になっています。
菩薩様も多く描かれたモチーフで、学生時代から仏教美術に興味を持って模写をするなど、興味を寄せて長年描いたことで知られています。最近開かれた村上華岳展では華岳がキリスト教の教義や絵画を学んだのではないかとの指摘もあり、構図の新鮮さはもしかしたらそうした研究の成果なのかなと感じることもございます。
作品は青邨先生の群青の美しい作品とともに画廊に展示中です。
普段は近現代の油彩画が中心の画廊ですが、今年の夏は日本画の名品が揃いました。
夏の常設展は7月21日まで開催しております。
お時間ございましたらぜひお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。
柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.07.05
《ブログ》楽しみな展覧会、竹内栖鳳展
柳ケ瀬画廊では夏の常設展を開催しています。
近現代の油彩画を中心に、日本画、彫刻など15作品をご紹介しています。
本日のブログは愛知県美術館さんの話題です。
昨日より愛知県美術館さんでは楽しみな展覧会がはじまりました。
日本画の巨匠・竹内栖鳳の展覧会です。東京の巨匠・横山大観と並んで「東の大観、西の栖鳳」と呼ばれた、近代日本画を代表する人物ですね。

京都の料理屋の家庭にうまれた栖鳳は、当時京都で活躍していた幸野楳嶺のもとで学び、早くから頭角をあらわして楳嶺四天王と呼ばれるまでになります。
余談ですが、師匠である幸野楳嶺が若い頃、占い師に自身の将来をみてもらったところ「気の毒だが一流の絵師にはなれない。しかし、二流の絵描きにはなる。そして、おまえさんが育てた者の中から天下一流の絵描きが必ず出る。だから弟子を育てなさい」といわれたそうです。
楳嶺自身も京都の四条派で著名な画家でしたが、その後、数多くの一流の日本画家を育てることとなります。その「一流の絵描き」の筆頭が竹内栖鳳です。栖鳳もまた上村松園、土田麦僊、小野竹喬、福田平八郎といった多くの弟子を育てたので、間接的な人物を含めると楳嶺から生まれた画家は非常に充実しています。
話を戻して、栖鳳は楳嶺のもとで伝統的な四条派の画風を学びながら、1900年には30代半ばでヨーロッパに行きます。私も昔勉強していたときに、渡欧は洋画家の印象でしたので、「日本画家がヨーロッパに行くのね」と驚きました。
栖鳳のヨーロッパ留学は実り豊かなものだったようで、帰国後には四条派の流れに西洋の写実の技術を混ぜて、栖鳳にしか描けない日本画を作っていくなどしはじめます。それまでの画家たちが想像上のものとして描いていた獅子を、西洋の動物園で見たライオンのようにリアルに描くなどしたため、当時はその新しさが批判されたこともあったそうですが、今になると同時代の画家から頭一つ出た、オリジナル性があり、それが令和の今でも栖鳳ファンを作っているのだなと感じます。
栖鳳の展覧会は2023年にも京都市美術館(現在の京セラ美術館)で開かれていて、そのときは見そびれてしまったので、今度の愛知県美術館で開かれる栖鳳展は楽しみです。
伝統と革新、日本と西洋、対立する様々な要素をのみこんで貪欲に描いた画家です。
展覧会の詳細は愛知県美術館さんの特設サイト(https://static.chunichi.co.jp/chunichi/pages/event/seiho)に詳しいのでこちらをご確認くださいませ。
夏の楽しみができました(*^^*)
今から展覧会が待ち遠しいです。
良い展覧会があるとワクワクしてまいりますね。
柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2025.07.03
《展覧会》7月は常設展を開催いたします
秀作鑑賞展が終わり、画廊内の展示替えをいたしました。
7月は夏の常設展として、涼しげな画題の作品を中心に、
近現代の油彩画、日本画、版画、彫刻などをご紹介いたします。
《展示作家》
熊谷守一 / 香月泰男 / 牛島憲之
前田青邨 / 村上華岳 / 棟方志功
加藤東一 / 加藤栄三 / 林武史
山中現 / 鈴木敦子 / ピカソ
(順不同・敬称略・追加変更あり)
なお、勝手申しますが
7月26日(土)から8月22日(金)にかけて、
決算棚卸に伴う夏季休廊とさせていただきます。
休廊中もご相談等ございましたら、画廊の電話は繋がりますので、
ご連絡の際は通常通りの 058-262-3481 までお電話くださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします。
柳ケ瀬画廊 市川瑛子