柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

ブログ「絵画のたのしみ」

2022.01.17

《作品紹介》元永定正 ミクストメディア

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品をご紹介しています。

元永定正先生の10号、ミクストメディアの作品が入りました。
三重県ご出身の画家でいらして、三重県立美術館にて大回顧展が催され
作品をご覧になられた方も多いかと存じます。
明るくエネルギッシュな元永先生のファンの方も多く、
弊社にてもいくつかの作品を取り扱わせていただきました。
今回展示の作品は赤・黄・白・紫の鮮やかな色彩で表現された作品で
お部屋に飾ると家全体が明るくなりそうな魅力ある作品です。

今回、作品のメディアを「ミクストメディア」表記と「アクリル」表記と迷いましたが
アクリル絵の具以外のメディウムも使われているかもしれないので
念の為「ミクストメディア」表記にしました。

画家は自分の表現には貪欲です。
画家は、キャンバスの地塗りの段階から油絵の具以外のメディウムを使うこともありますし、油絵の具に混ぜたり、仕上げの段階で使われることもよくあります。
金箔や銀箔を使用されている作品もよくあります。
また、一見 油彩絵の具以外使っていないように見える写実画家の作品でも
仕上げに画材分野とは違う、コーティング剤のようなものを使用している画家の方もいらっしゃいます。

絵画の表現として、この世界に存在するすべてのものが使用される可能性があり
表現の自由はとどまることがありません。
修復のお仕事をされている方は大変だそうです(^^♪

 

柳ケ瀬画廊 市川たけよ

2022.01.16

《作品紹介》黒田清輝 風景 油彩画

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品をご紹介しています。

いま、画廊では黒田清輝先生の油彩画を飾っています。
0号の小さな油彩画ですが、小品だからこそ細部まで描き込まれた出来のよい作品です。

黒田先生は1866年、島津家家臣の家に生まれ、最初は政府の文官として働くことを見据えてフランスに法律を学ぶために留学しました。しかし、留学先で知り合った山本芳翠先生らから絵の魅力を教えられ、次第に昼間は法律を学び、夜は美術を学ぶ生活に変わっていきます。そして、最終的には美術の道に専念することとなりました。(※ 山本芳翠先生は、岐阜出身で、重要文化財の油彩画「裸婦」のを描いた画家です。)

黒田先生がフランスで学んでいた画風は、印象派風の、例えば影の黒色を紫色などで描くような色彩の描き方でした。それはまだ日本には伝わっていない表現方法でしたので、帰国後、黒田先生の作品は驚きを持って迎えられ、旧来の美術に対して「新派」「紫派」と呼ばれることとなります。
また、黒田先生は画家としてだけでなく、日本という国の美術そのものの確立にも力をそそぎ、東京美術学校に新説されると西洋画科を率いていくこととなります。そこで西洋流の授業も取り入れたので、日本の油彩表現の基礎を変えていくことにもなりました。

ただ、多方面で活躍したことで、特に大正期にはいってからの黒田先生は政治家・教育家としての仕事に忙殺されていくこととなってしまいます。そして思うように制作時間が取れなくなった黒田先生が選んだ方法が、小品という表現サイズの選択でした。

今回展示している作品も、小品の油彩画です。
制作年代ははっきりしていませんが、黒田先生の弟子の白瀧幾之助先生が大正六年頃の作ではないかと書いていることと、画風や寸法からおそらく大正初期の作品と思われます。
黒田先生は自宅に美しい花々による庭園を拵えるなど、自然を愛した画家でした。そのため、作品も風景や花、空のモチーフが多く登場しています。本作も風景を描いた作品です。

作品は画廊の正面に展示してございます。
お時間ございましたらぜひ実作品をご覧にお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑をお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2022.01.15

《作品紹介》梅原龍三郎 薔薇

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品をご紹介しています。

本展覧会では、梅原龍三郎先生の薔薇の作品を展示しています。
豊穣な、薔薇の香りが感じられるような油彩画です。

梅原先生は1888年、京都の中心部四条通りのすぐ南のあたりに生まれました。ご実家は呉服の問屋から集まる図案や染色や刺繍などを振り分け、出来上がったら得意先に収める商売をしていたそうで、小さい頃から美しい形と色のなかで生活をされていました。
15歳のときに洋画壇の大家・浅井忠先生に師事すると、20歳のときにはもうフランスに渡って現地の美術に触れています。特にリュクサンブール美術館で出会ったルノワールの絵には感銘を受けたそうで、さっそくカーニュという場所までルノワールに会いに出かけます。カーニュは三岸節子先生なども出かけた、南仏の気候のよい地です。
梅原先生はその地でルノワールに師事し、様々なことを教えてもらったそうです。ルノワールに学んだというと、あまりに世界的巨匠すぎて画集や美術館で絵を見て影響を受けたのかなと思いがちですが、梅原先生は直接ルノワールと語り合い絵を学んだのですね。

フランスから帰国後にはルノワール風の作品からはじまると、次第に西洋方式のなかに日本の伝統を混ぜ合わせ、梅原先生にしか描けない世界がつくられていきます。日本画の画材を用いたり、琳派や南画の要素を混ぜ合わせた描き方をしてみたり。そして97歳で亡くなるまで、たくさんの作品を描きました。

梅原先生の作品は、育ちの良さからくる豪快さとおおらかさ、そしてルノワールやピカソをはじめとする喜ばしい出会いからくる楽しさや幸せ、そうした濁りのない生きる喜びが感じられます。
今回展示している薔薇の図も、薔薇そのものも美しいですが、薔薇の花が香しく咲いている春すぎの空気感のやわらかさも良く出ているように思います。絵を飾ったら部屋が明るくなりそうな作品です。

実作品をぜひご覧いただいてお楽しみいただけましたら嬉しいです。

柳ケ瀬画廊の「新春逸品展」は30日までの開催です。
火曜水曜休廊。10時から18時。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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