柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

ブログ「絵画のたのしみ」

2022.10.30

《ブログ》「もじもえもじも」展(西尾市岩瀬文庫)

柳ケ瀬画廊では「文化の日 名品展観《熊谷守一・前田青邨展》」を開催中です。

 

「美術の秋」を迎え、たくさんの美術展がはじまりましたね。
毎週のように各所の展覧会をまわることができて、とても楽しいです。

先日は愛知県西尾市にある「西尾市岩瀬文庫」に出かけてまいりました。
百年以上の歴史を持つ、日本初の古書ミュージアムです。

現在、「愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 移動美術館」として、
企画展示「もじもえもじも」展が開催されています。

お出かけした日は、週末の「にしお本まつり」の準備で賑わっていました。
市民の方たちがワイワイ机や書籍を運んでいて、古書目録などもあり、楽しそうです。

「もじもえもじも」展。
「文字も絵文字も」「文字も絵も字も」「文字も絵も磁も」、
様々な区切りもでき、また、回文にもなっている面白いタイトルです。

展示点数は50点ほどですが、
文字と書物にまつわるテーマで、ほぼすべての作品に丁寧な解説文もあり、
展示全体がひとつの本のようにまとまっていて楽しかったです。

「書物に親しむ」というテーマでは、
小出楢重の読書する夫人を描いた油彩画から、
伝・加藤民吉の瀬戸焼で描かれている文人たちの姿、北斎漫画まで。

「物語」というテーマでは、
ココシュカの版画から、小川芋銭の描いた「金太郎とカッパ」まで。
(芋銭の小さなお皿のカッパがとても可愛いのです。)

8世紀の文房具などから、現代のアーティストまで、
たくさんの作家の作品を、いつもとは違った角度から楽しめる展覧会でした。
今まで存じあげなかった作家もいて、もっと作品を見たいと思って調べましたら、ちょうどこの冬に関東で個展を開かれるようなのでお出かけしてもっと拝見したいなと思ったりしています。
グループ展は新しい作品との出会いも素敵ですね(*^^*)

 

***ご紹介した展覧会の詳細***

展覧会名:「愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 移動美術館  もじもえもじも」展
展覧会期:9月17日(土)から11月27日(日)まで
展覧会場:西尾市岩瀬文庫 企画展示室(入場無料)
西尾市岩瀬文庫さんの公式ウェブサイト
https://iwasebunko.jp

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

2022.10.29

《ブログ》「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」展(稲沢市荻須記念美術館)

柳ケ瀬画廊では「文化の日 名品展観《熊谷守一・前田青邨展》」を開催中です。

先日、稲沢市荻須記念美術館さんでひらかれている、
洋画家・藤島武二のスケッチ展に出かけてまいりました。
稲沢市出身の洋画家・荻須高徳を顕彰するため、1983年に開館した美術館です。

現在、同館では特別展・藤島武二展がひらかれていますが、
入館して右手側の展示室では荻須高徳作品もたくさん展示されていました。

現在は、荻須ゆかりの方からの新寄託・油彩画5点なども楽しめます。

荻須先生が暮らしたパリのまちには多くの観光名所もありますが、
荻須先生はパリの方たちが暮らしている日常の街並みを描いた画家です。
展示室でもパリの様子が生き生きと伝わってくるような作品が揃っていました。

受付の左側のエリアでは、今秋の特別展が開催されています。
「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」です。
スケッチを中心に100点以上の藤島作品が鑑賞できました。

メインはスケッチ類ですが、油彩画も9点ほど飾ってあります。
東京国立近代美術館からきた「匂い」「アルチショ」、
藤島が教師として赴任していた三重にある三重県立美術館の「ローマ風景」などです。

メインのスケッチ類は、大川美術館(群馬県)のコレクションがきていました。
大川美術館は、ダイエーの副社長などを務めた大川栄二氏のコレクションの館です。
ピカソや松本竣介、山口薫、萬鉄五郎などの近現代の名品揃いの美術館で、
私も群馬まで足をのばしてコレクションを拝見に伺ったことがあります。

蛇足ですが、この大川美術館さんのモダンな設計は、
松本竣介の次男で建築家の松本莞氏が手掛けています。

そんな大川美術館さんからきているコレクションは、
渡欧期の貴重なクレヨンや鉛筆の作品から、
藤島の代表作であり切手にもなった「蝶」を連想させる蝶のスケッチ類、
そして、「洋画家・藤島武二」がもうひとつ持っていた「デザイナー・藤島武二」の顔がわかるようなアール・ヌーヴォーの影響を受けた木版画類まで、多彩で魅力的なものばかりでした。

これらのコレクションは、以前、安宅英一氏が所蔵していたそうです。
安宅英一氏といえば、美術界では有名なコレクターの方で、
現在、大阪市立東洋陶磁美術館が所蔵する世界随一の陶磁コレクションの旧蔵者、
山種美術館が所蔵する速水御舟の代表作「炎舞」などの旧蔵者として知られています。

そうした質の高いコレクションを引き継いだ大川美術館さんが、
安宅氏からバトンタッチされた藤島の画業の全貌を伝えるコレクションを、この東海地区で公開してくれるなんて嬉しいですね。美術品を次世代に伝えていくリレーの大切さを改めて感じた気がいたします。

会期中には学芸員さんのギャラリートークなどもあるそうです。
「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」展のチラシは柳ケ瀬画廊の店頭でも配架しています。ご入用の際はお気軽にお持ちくださいませ。

 

 

***ご紹介した展覧会の詳細***

展覧会名:「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」展
展覧会期:10月22日(土)から12月4日(日)まで
展覧会場:稲沢市荻須記念美術館
稲沢市荻須記念美術館さんの公式ウェブサイト
http://www.city.inazawa.aichi.jp/museum/

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

 

2022.10.22

《作品紹介》熊谷守一「ばら」油彩画

画廊では「文化の日 名品展観《熊谷守一・前田青邨展》」を開催中です。

展覧会では画廊の中央あたりに、
熊谷守一先生の薔薇の油彩画を飾っています。

1963年、熊谷先生が83歳のときに描かれた作品です。
1960年代は最も多くの熊谷先生の油彩画作品が生まれた時代で、たくさんの名品が制作されています。また、この作品を描いた翌年にはパリのガルニエ画廊で個展がひらかれ、国内でも様々な場所で熊谷展がひらかれていました。

熊谷先生のなかで薔薇は賑やかなイメージだったのか、薔薇の絵は、他の花のモチーフと比べると、画面にビビットカラーが使われていたり、複数の花や動植物と組み合わせることが多い気がいたします。自宅の庭でたくさんの植物を手ずから育て、薔薇もお庭に植わっていた熊谷先生ですので、育てるなかで薔薇の瑞々しい生命力を感じていらしたのかもしれませんね。

 

柳ケ瀬画廊の「文化の日 熊谷守一・前田青邨展」は11月13日までの開催です。
この作品のほかにも熊谷先生の油彩画5点を展覧中です。

皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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