2022.01.27
《作品紹介》絹谷幸二 富士
柳ケ瀬画廊では新年恒例の「新春逸品展」を開催中です。
展示作品の中から、毎日1作家、お薦めの作品とともにご紹介しています。

今回の展覧会では絹谷幸二先生の富士の作品を飾っています。
1997年に絹谷先生の個展を開催させていただいた折の作品です。
お客様からお客様へ、何度も名品と再会できることは画商の幸せですね。
絹谷先生は1943年は奈良県奈良市に生まれました。
先生の文章によると「家は猿沢池畔に古くからある料亭[明秀館]で、白樺派の作家、東大寺の上司海雲ら文人墨客、アンドレ・マルローら著名人が訪れ、祖父が集めた多くの古美術品に囲まれて育った」とあり、文化的な環境で生活されていた様子を感じることができます。豪快ながら、品の良さを伴う作風の根っこにはこの幼少期の御記憶があるのかもしれませんね。
その後、東京藝術大学美術学部油画科小磯良平教室を卒業すると、古美術の授業で法隆寺に出かけた際に法隆寺の金堂壁画に魅了された経験から大学院で壁画を学びます。そして、画壇にデビューすると独立展で最短・最年少の会員推挙を受けるなど、国内・国外で活躍を続けました。
いま、画廊に展示している作品は、絹谷先生が53歳のときに制作された作品です。
朝日ののぼる景色を、日本平から描いた名品です。
この作品を制作した翌月、絹谷先生は長野オリンピックの公式ポスター制作を依頼され、画壇だけでなく一般の美術にあまり関心のない方でも、見たことがある・聞いたことのある大家になっていきました。作家としてのターニングポイントに当たる時期の作品です。
絹谷先生は現在79歳。
弊社の「新春逸品展」の会期中の1月24日にお誕生日を迎えられました。
いまでも変わらず精力的にご活躍を続けています。
お人柄が感じられるような明るくエネルギッシュな作品です。
お時間ございましたらぜひ鑑賞にお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。
柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2022.01.22
《作品紹介》麻生三郎 油彩画
柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。
展示作品の中から、毎日1作家、お薦めの作品とともにご紹介しています。

久しぶりに麻生三郎先生の油彩画が手に入りました。
絵画とは何か、絵画の本質とは何か を追及しつづけた洋画家の作品です。
麻生先生は1913年に現在の東京都中央区に生まれました。小学校の同級生には日本画家の鏑木清方先生がいたそうです。学生時代の麻生先生は絵が好きで、セザンヌやゴッホ、ダ・ヴィンチ、デューラーなどを好んで模写していたといわれています。
そして、17歳のときに太平洋美術学校に入学すると本格的に絵を学びはじめました。この学校は、浅井忠先生たちがつくった明治美術会からの流れを汲む太平画会の学校組織で、麻生先生はここで松本竣介先生や寺田政明先生と知り合い、彼らと一緒に画会を作ったり展覧会を開いたりして切磋琢磨していくことになります。
麻生先生の初期作品は、残念ながら空襲でアトリエごと大半が燃えてしまったのであまり現存していません。しかし、戦中戦後から2000年に87歳で亡くなるまで、多くの作品を描いてくださったので、柳ケ瀬画廊でもこれまで何点も作品を扱わせていただけています。東海地区では十年ほど前に愛知県美術館さんで大きな回顧展がひらかれたので、そちらを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
麻生先生の作品は、先生のいう「外部はわたしをつつむ異質な空間である。わたしはその空間のなかにいるのだ。」をあらわしているような黒色や灰色で覆われた画面のむこうがわに、先生のいう「わたしがたしかめたものをしっかり掴」んで描かれた存在が描かれているように感じます。それが麻生先生がエッセイで書いていらした「絵画自身の生命」なのかなと思っています。
ぱっと見るだけですと、何が描かれているか分からない難しさがあるかもしれません。
しかし、じっと画面をみていると、次第に目が慣れて、奥から形が見えてきます。
今回、手に入った作品は人物、花、虫と草の作品です。いま、画廊には花の油彩画4号(1972年制作)を飾っています。
お時間ございましたらぜひお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております(*^^*)
柳ケ瀬画廊 市川瑛子
2022.01.22
新春逸品展は来週末までの開催です
「新春逸品展」を開催中です。
いよいよ展覧会も来週末1月30日(日)までの会期となりました。
引き続き下記の作家を展示して、皆様をお待ちしております。
お時間ございましたら、ぜひお出かけくださいませ。
《出品作家》
熊谷守一、 黒田清輝、 梅原龍三郎、 中川一政、
三岸節子、 絹谷幸二、 舟越桂 、 元永定正、
里見勝蔵、 須田国太郎、山口薫 、 山口長男、
麻生三郎、 脇田和、 難波田龍起、 浅野弥衛

柳ケ瀬画廊 市川瑛子