2025.04.25
《ブログ》岐阜県現代陶芸美術館「鈴木蔵の志野展」を鑑賞してまいりました
柳ケ瀬画廊では「生誕145年 熊谷守一展」を開催しています。
油彩画を中心に、22作品ほどを展覧中です。
ぜひお出かけくださいませ。今週末27日(日)までの開催です。
さて、先日岐阜県現代陶芸美術館に出かけてまいりました。
多治見にある美術館で、卒寿記念の「鈴木蔵の志野展」が開催されていました。
国立工芸館をスタートして、北海道、山形、富山と巡回してきた展覧会です。
岐阜出身の鈴木蔵さんは60年近く志野を手掛けつづけ、
荒川豊蔵さんに続いてふたりめの重要無形文化財保持者(人間国宝)となっています。
会場に入ると多彩な技法を用いた志野茶碗がずらりと並んでいました。
第二章にうつると造形への挑戦作品として、力強くて新しい彫刻的な作品が鑑賞できます。
数多くの花器も手掛ける鈴木蔵さんですが、2010年代後半からは「花器」を「陶塑」と呼び、より彫刻的な存在感のあるかたちに変化させています。
鈴木蔵さんといえば志野のイメージですが、出身地岐阜の展覧会ということもあり、1970年代に手がけた織部の作品も展示されていました。
第三章にうつると、茶碗と水指の制作が色々紹介されています。
鈴木蔵さんはお父様が多治見で窯業技術者として働いており、釉薬研究の大切さを教えられていたことから、一万点以上ものテストピースで様々な実験を試みていました。なかには重要文化財「鼠志野茶碗 銘「峯紅葉」」の文様を試したような掻き落としのテストも見られます。
この作品の関連として、五島美術館から重要文化財の「鼠志野茶碗 銘「峯紅葉」」も実物展示されていました。この作品は撮影禁止でしたので目で鑑賞するのみでしたが、桃山時代を代表する貴重な志野の美しさも鑑賞できました。
最終章の第四章は、鈴木蔵さんが「流旅轉生」と呼んだ懐石の器が紹介されていました。
焼き物の里・多治見はおいしい料理店も多く、それぞれが美しい器に盛りつけてだしてくれます。同じ料理でも器が美しいと互いに引き立て合って素敵で、美術館を出たらどこかギャラリーや販売所で器を買いたいなと思ってしまうような展示になっていました。
あと、陶芸家・画家の方は箱書きを書いたり、書を依頼されることも多いため書を手掛ける方が多いです。書に関しては鈴木蔵さんの「志野」の字の変遷をまとめたパネルなどもあり、勉強にもなりました。
鈴木ファミリーでは、ご長男の徹さん、三男の健さんも陶芸家となっていて、奥様とともに一緒に窯から作品を出す写真なども紹介されていました。ご子息ふたりの作品も鑑賞できます。
お父様とはまた異なる魅力が感じられますね。
「鈴木蔵の志野展」は6月1日までの開催だそうです。
多治見は若手の方のギャラリーや展示施設も増えてきているので、連休のお休みのお出かけにいかがでしょうか。
柳ケ瀬画廊の熊谷守一展も4月27日まで開催中です。
岐阜県現代陶芸美術館からは少し距離がありますが、こちらもぜひお出かけくださいませ。
柳ケ瀬画廊 市川瑛子