2024.06.02
《作品紹介》香月泰男「闘牛」油彩画
柳ケ瀬画廊では「香月泰男展」を開催中です。
油彩画、グワッシュ、版画など16作品を展示しています。
画廊の正面には油彩画の「闘牛 ラスパルマス」という作品を飾りました。
スペインのなかでもアフリカに近いカナリア諸島にある都市・ラスパルマスで見た闘牛を描いた作品で、画面上とカンバス裏に「Las Palmas」という書き込みがみられます。
香月先生は1956年、45歳のときに初めてヨーロッパを訪れました。
約半年をかけてフランスを拠点にスペイン、ポルトガル、イタリア、スイスを旅して、巨匠・ピカソなどにも出会い、400点を越えるスケッチを描いたといわれています。スペインではマドリードやマラガ、バルセロナなどを巡っていたようです。
この旅行が楽しかったのか香月先生は翌年、翌々年もヨーロッパを旅していて、スペインには1972年に再び出かけています。ラスパルマスはこのときに出かけたようで、翌年の1973年に出身地・山口にある香月泰男美術館に収蔵されている3点の油彩画「闘牛ラスパルマス」や、1974年作の石版画集「グランカナリア」内の「闘牛」などの作品が制作されました。今回、柳ケ瀬画廊で展示している作品もその連作の1つかと思われます。
画廊で展示している「闘牛ラスパルマス」は30号の大振りの作品です。
構図や色の取り合わせの魅力もあり、香月先生らしい堅牢に作り込まれたマチエールも美しい油彩画です。
ぜひ実作品をご覧にお出かけくださいませ。
皆さまの御清鑑を心よりお待ちしております。
柳ケ瀬画廊 市川瑛子