柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

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2024.04.18

《作品紹介》熊谷守一 五風十雨

春の恒例展「熊谷守一展」もいよいよ来週28日までの会期となりました。
少しだけ展示替えをして、油彩画・日本画・書・版画の22作品を展示しています。

本展では書を4作品展示しています。
熊谷先生は、支援してくださっていたコレクターの木村定三氏(愛知県美術館に100点以上の熊谷作品を含めた数千点の古今東西の美術作品を寄贈した大蒐集家)の影響もあって、中国古典などを題材にした書の作品を多く手がけていますので、画廊では言葉の解説用紙とともに作品をご紹介しています。

ウインドウには「五風十雨」の書を飾っています。

中国後漢の王充が手がけた書籍『論衡』に登場する「太平之世、五日一風、十日一雨、風不鳴条、雨不破塊」の一節からとった言葉で、五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降るような気候だと農作物が豊かに実り、天下が太平であるという意味ののびのびした言葉です。
熊谷先生らしいこの言葉は、熊谷先生もエッセイのなかで好きな言葉のひとつとしてあげています。

熊谷先生は岐阜県恵那郡付知村(現在の岐阜県中津川市付知町)に生まれ、東京で文展で作品が入賞するなどして画家としてスタートを切ったのち、30代の一時期に裏木曾に戻って山奥で木を切り出し運搬する日傭という仕事に就いていました。
熊谷先生もエッセイのなかで、そのころに後年描くことになる多くの草花の名前や効能を覚えられたとおっしゃっています。山の仕事は天気や生きものとともにあるものなので、五風十雨と言う言葉に気持ちをお寄せになったのかもしれませんね。

作品「五風十雨」は店頭販売中です。
お気になられましたらお気軽にお問合せくださいませ。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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