2022.10.29
《ブログ》「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」展(稲沢市荻須記念美術館)
柳ケ瀬画廊では「文化の日 名品展観《熊谷守一・前田青邨展》」を開催中です。
先日、稲沢市荻須記念美術館さんでひらかれている、
洋画家・藤島武二のスケッチ展に出かけてまいりました。
稲沢市出身の洋画家・荻須高徳を顕彰するため、1983年に開館した美術館です。
現在、同館では特別展・藤島武二展がひらかれていますが、
入館して右手側の展示室では荻須高徳作品もたくさん展示されていました。
現在は、荻須ゆかりの方からの新寄託・油彩画5点なども楽しめます。
荻須先生が暮らしたパリのまちには多くの観光名所もありますが、
荻須先生はパリの方たちが暮らしている日常の街並みを描いた画家です。
展示室でもパリの様子が生き生きと伝わってくるような作品が揃っていました。
受付の左側のエリアでは、今秋の特別展が開催されています。
「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」です。
スケッチを中心に100点以上の藤島作品が鑑賞できました。
メインはスケッチ類ですが、油彩画も9点ほど飾ってあります。
東京国立近代美術館からきた「匂い」「アルチショ」、
藤島が教師として赴任していた三重にある三重県立美術館の「ローマ風景」などです。
メインのスケッチ類は、大川美術館(群馬県)のコレクションがきていました。
大川美術館は、ダイエーの副社長などを務めた大川栄二氏のコレクションの館です。
ピカソや松本竣介、山口薫、萬鉄五郎などの近現代の名品揃いの美術館で、
私も群馬まで足をのばしてコレクションを拝見に伺ったことがあります。
蛇足ですが、この大川美術館さんのモダンな設計は、
松本竣介の次男で建築家の松本莞氏が手掛けています。
そんな大川美術館さんからきているコレクションは、
渡欧期の貴重なクレヨンや鉛筆の作品から、
藤島の代表作であり切手にもなった「蝶」を連想させる蝶のスケッチ類、
そして、「洋画家・藤島武二」がもうひとつ持っていた「デザイナー・藤島武二」の顔がわかるようなアール・ヌーヴォーの影響を受けた木版画類まで、多彩で魅力的なものばかりでした。
これらのコレクションは、以前、安宅英一氏が所蔵していたそうです。
安宅英一氏といえば、美術界では有名なコレクターの方で、
現在、大阪市立東洋陶磁美術館が所蔵する世界随一の陶磁コレクションの旧蔵者、
山種美術館が所蔵する速水御舟の代表作「炎舞」などの旧蔵者として知られています。
そうした質の高いコレクションを引き継いだ大川美術館さんが、
安宅氏からバトンタッチされた藤島の画業の全貌を伝えるコレクションを、この東海地区で公開してくれるなんて嬉しいですね。美術品を次世代に伝えていくリレーの大切さを改めて感じた気がいたします。
会期中には学芸員さんのギャラリートークなどもあるそうです。
「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」展のチラシは柳ケ瀬画廊の店頭でも配架しています。ご入用の際はお気軽にお持ちくださいませ。
***ご紹介した展覧会の詳細***
展覧会名:「藤島武二 スケッチ百花 大川美術館コレクションと名品の彩り」展
展覧会期:10月22日(土)から12月4日(日)まで
展覧会場:稲沢市荻須記念美術館
稲沢市荻須記念美術館さんの公式ウェブサイト
http://www.city.inazawa.aichi.jp/museum/
柳ケ瀬画廊 市川瑛子