柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

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2022.01.21

《作品紹介》浅野弥衛 油彩画 パステル画

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品をご紹介しています。

浅野弥衛先生の油彩画とパステル画が手に入りました。
油彩画はモノクロームの引っかきの作品、パステルはブルーチェスの作品です。

浅野先生は1914年に三重県鈴鹿市に生まれました。そのご縁で、東海地区には作品を所蔵する美術館が多く、三重県立美術館さんでは大規模な回顧展がひらかれたこともございます。
先生は若い頃から絵がお好きで、また、10代の終わりごろに戦後に詩人として活躍する野田理一氏と知り合ったことで抽象絵画のカンディンスキーやミロ、クレー、アルプなども目にしていたそうです。ただ、浅野先生にとってそれらの抽象絵画は特別な難しいものではなく、「カブキはシュールなものだし、床の間の違いダナのアンバランスだってそうだ。日本に昔からあった」と語っていらっしゃるので、自然に体の中に入ってきた存在だと思います。

戦後は1953年に鈴鹿信用金庫の代表理事になり、多忙な日々を過ごしますが、そのなかでも夜に制作を続けていらっしゃいました。そして1959年に鈴鹿信用金庫を辞任すると、画家に専業してたくさんの作品を描いていきます。
展示している油彩画の作品はちょうどその頃の作品です。
モノクロームの画面が、引っかきによって動きが出ています。引っかきというと、画面を傷つけて浸食するイメージですが、浅野先生にとっては田畑を耕したり溝を掘るといったイメージだったそうです。

一方、パステルは鮮やかなブルーの作品です。
70年代以降に制作された ” ブルーチェス ” と呼ばれる連作の一点で、モノクロームであることの多い油彩画に対して、展示している作品も、ブルーを基調として様々な色彩が登場するため、一見すると全く異なる作者のような印象を受けるかもしれません。ただ、ゆっくり鑑賞していくうちに、次第に浅野先生らしい引っかきの技法や形がみえてきて、モノクロームとは異なる「らしさ」が感じられると思います。

いよいよ柳ケ瀬画廊の「新春逸品展」も来週末までの開催となりました。
少し展示替えをいたしました。お時間ございましたらお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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