柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

ブログ

2021.11.04

《ブログ》波濤を越えて 鑑真和上と美濃の僧・栄叡(岐阜市歴史博物館)

いよいよ11月、芸術の秋を迎えましたね。
柳ケ瀬画廊で開催中の「文化の日 熊谷守一・香月泰男展」も、気候の良さもあってお越しいただくお客様が増えてまいりました。このままコロナが落ち着いて、よい秋になるといいですね。

さて、今回のブログは岐阜市内でひらかれている美術展のご紹介です。
先日、岐阜市歴史博物館さんでひらかれている「波濤を越えて 鑑真和上と美濃の僧・栄叡」展に出かけてまいりました。同館のある岐阜公園さんでは「菊人形・菊花展」もひらかれているため、多くの方で賑わっていました。

仏像や経典というと、普段、柳ケ瀬画廊で取扱っている近代絵画とは異なるジャンルです。
そのため私自身も詳しいジャンルではなかったのですが、当時の時代背景や、唐招提寺、鑑真和上、栄叡の関係性が丁寧に説明されていたので、とても分かりやすく楽しむことができました。

鑑真和上は、当時の日本が鎮護国家、仏教の力で国を支えていく時代だったことから、正しい仏教の姿を日本に伝えて欲しいと請われて5度の航海失敗、失明を乗り越えて来日した僧侶です。
もっとお若い方かと思っていましたが、日本行きの決意をしたときにはもう50歳を越えていたのですね。高位で、唐の人々にも中国に残って欲しいと思われるような人物であったと紹介されていて、よく数か月の船旅を決意して日本に来てくれたものだなと驚かされます。

また、その鑑真和上の元に 来日の依頼に出かけた人物が、美濃出身の栄叡という方だったということを勉強不足で初めて知りました。
日本から唐まで数か月の命がけの旅をし、唐でも賊と間違えられたり、多くの人に慕われていた鑑真和上を唐の国から連れ出そうとした悪い人物だとして牢に繋がれたり、苦労続きの様子が会場パネルで説明されていました。こんな方が岐阜にいたのですね。

出品作品では、国宝「伝衆宝王菩薩立像」、重要文化財「十一面観音立像」「東征伝絵巻」など、国宝重文がいろいろと鑑賞できます。「伝衆宝王菩薩立像」は2019年に国宝に指定されたばかりですね。それまでの日本の仏像の様式とは明らかに違っていることから、鑑真和上が伴った工人の関与があったのではないかといわれている作品です。たしかにお顔や衣が随分と違いますね。

絵画では、加藤東一先生の栄叡像も展示されていました。
東一先生と栄叡との間には千年以上の隔たりがあるため、資料集めに苦心されたようです。井上靖の小説『天平の甍』をもとにイメージを膨らませて描いたと解説がされていました。

岐阜で唐招提寺をはじめとする各所像の国宝重文の作品が鑑賞できる貴重な機会です。
芸術の秋のお出かけにいかがでしょうか(*^^*)

 

***展覧会詳細***

展覧会名:波濤を越えて 鑑真和上と美濃の僧・栄叡
展覧会期:10月8日(金)から11月23日(火・祝)まで
展覧会場:岐阜市歴史博物館(岐阜公園内)
岐阜県美術館・公式ウェブサイト
https://www.rekihaku.gifu.gifu.jp/

***

展覧会名:文化の日 熊谷守一・香月泰男展
展覧会期:10月7日(木)から11月7日(日)まで(火曜水曜休廊)
展覧会場:柳ケ瀬画廊(岐阜市柳ケ瀬通3-21)
柳ケ瀬画廊・公式ウェブサイト
https://yanagase-web.com/

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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