柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

ブログ

2021.08.28

《ブログ》コウモリ

先日まで長く続いた雨上がりの夕暮れに、川沿いを散歩していましたら
何十匹ものコウモリが、超高速の不規則な動きで 羽を真横に拡げてビュンビュンと飛びまっていました。
川縁を飛ぶ小さな虫を 口を開けながら食べているそうですが、
初夏に 明るい太陽の下 燕尾服姿のつばめが可愛い姿で大きく口を開けて飛んでいる姿とは対照的で不吉で、暗い不気味な生きもののイメージです。
眼の前を何度も飛び回りますので、じっと観察していますと
羽の間はグレーに透けていて、黒色で三角尖った姿は 何となく悪役のイメージです。

熊谷守一先生は ツバメやカラスはもちろん蠅まで。。 身近な生きものを描いた画家ですが、コウモリは記憶にありません。(代表作の一つ「宵月」に描かれているのはコウモリではなく枯葉です。)

ぼんやり考えてみると、他の画家でも
コウモリを描いた絵画はあまり見たことが無いような気がいたします。
日本中どこにでも生息しているはずですが あまり描かれることはないコウモリ。
デザイン的には面白い形だとは思いますが 昼間は隠れて夜に出没する生態から、作品として描きにくいのかもしれません。

最後に、コウモリについて検索してみましたら、
中国では「幸盛」という事で縁起のよい生きものとされているとのこと。
また、「漢字の蝙蝠の蝠が福と同音であることから中国人の最も好むものの一つとされ、吉祥を意味し寿福を冀うものには必ず蝙蝠を用いる。」とあります。

嫌われてばかりではなくてよかったです。

 

PS
コウモリの作品ですが、熊谷守一にお詳しい先生から
「世界文化社の『虫時雨』29ページに鉛筆デッサンが掲載されています」とご指摘をいただきました。確認いたしましたら、12月1日午後5時の作品として「蝙蝠」の作品が掲載されていました。
訂正申し上げます。
コウモリは「幸盛」でしたよね(#^.^#)
いつか、熊谷先生のコウモリ作品に巡り会える日を楽しみにしていようと思います。

 

柳ケ瀬画廊 市川たけよ

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