2024.11.16
《作品紹介》熊谷守一 水墨画 烏
柳ケ瀬画廊では24日まで「文化の日 熊谷守一展」を開催中です。
画廊にお越しいただいたお客様が、最初に目にされる作品が、
熊谷守一 水墨画 「からす」1964年作 です。
こちらの作品は、熊谷先生がご存命中に ご自身で1930年代から1970年代に描かれた水墨画作品の中からお好きな作品を選ばれ、一冊の本にまとめられた『熊谷守一自薦水墨画集』(昭和53年、神無書房)に掲載の作品です。
作品には熊谷守一水墨淡彩画鑑定登録会発行の鑑定証書がついていますが、何よりも熊谷先生自身が選ばれた自薦作品画集に掲載されているため、本来であれば鑑定証書が不要ともいえる作品です。作品を多く取り扱っておりますと、このように鑑定証書が不要の作品がございますが、そのひとつが本作です。
日本中どこにでもありそうな、のどかな風景を描いた水墨画です。
のびやかに描かれた烏からは、熊谷先生の生き物への愛情が感じられます。
熊谷先生は水墨画や墨彩画の作品を数多く描かれています。
お客様は赤色や黄色など色鮮やかな作品に興味を持たれることが多くございますが、グレーの優しいトーンで描かれた作品は、不思議と飽きることがなく心惹かれます。
昨日、長良川の河原を眺めておりましたら、烏が8羽ほど集まり、この作品の通りの構図で遊んでいるような、話をしているような様子でおりました。最近はいろいろ問題になっている烏ですが、野口雨情の童謡「七つの子」にもございますように、人に身近な鳥です。
心癒される作品です。
お時間がございましたらご覧くださいませ。
柳ケ瀬画廊 市川たけよ