柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

ブログ

2024.08.30

《ブログ》市内で文学講座が開かれます

柳ケ瀬画廊では初秋の常設展を開催しています。
熊谷守一作品を中心に、近現代美術15点を展覧中です。

さて、今日は今週末から岐阜市内で開かれる文学講座のご紹介です。
メディアコスモスで岐阜ゆかりの文学作品の講座が開かれ、窓口になっている岐阜市立中央図書館(https://g-mediacosmos.jp/lib/information/2024/08/post-1100.html)のカウンターかお電話で先着順で申込の上、受講できるそうです。

取り上げられる作品は下記3点です。
いずれも岐阜の地名がたくさん登場する小説ですね。

森田草平『煤煙』
水上勉『その橋まで』
川端康成『篝火』

第1回の9月2日の回では『煤煙』が取り上げられるそうです。
要吉が昔の岐阜駅に到着する下記の冒頭のシーンが印象的な作品です。

” 日が落ちて、空模様の怪しくなった頃である。東海道線の下り列車は、途中で故障を生じたので、一時間余りも後れて岐阜駅へ着いた。車掌がぎふ、ぎふ」と呼びながら、一つずつ車両の戸を開けて行く。その後から、乗客は零れるようにプラットホームへ降りて、先を争って、線路の上に架けた橋を渡ろうとした。”

当時の文学者は画家ともゆかりが深く、この『煤煙』も装丁を洋画家の中川一政が手掛けています。
森田草平と中川一政は友人同士だったようです。性格がかなり異なるように感じられますが、どこか気の合うところがあったのでしょうね。
柳ケ瀬画廊が専門に扱っている熊谷守一も、志賀直哉作品をはじめ、様々な小説の装丁・挿絵を手掛けたり、文学者との座談会に参加したりしていて、当時の資料を読んでいると当時の文壇と画壇の距離感が感じられます。武者小路実篤などの文学者が熊谷守一作品を批評する文章などもあり、ちょっと変わった視点にくすっとくることもあります。

柳ケ瀬画廊の「秋の秀作鑑賞展」ではそうした熊谷守一や中川一政の作品も展示予定です。
「美術の秋」「読書の秋」をあわせてお楽しみいただけましたら嬉しいです。

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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