柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

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2025.09.25

《作品紹介》熊谷守一 書 ほとけさま

画廊では常設展を開催しています。
10月30日からは秋恒例の熊谷守一展も開催予定です。
ただいま案内状のデザインを少しずつ進めて準備をしています。

秋の展覧会では書の名品が揃いそうです。
熊谷守一先生の書のなかでも、横書きの書、ひらがなの書は評判も良く、お好きとおっしゃる方がとても多いです。豊島区立熊谷守一美術館さん、熊谷守一つけち記念館さん、愛知県美術館さんなどでご覧になって画廊にお越しくださった方も何人かいらっしゃいます。

今回のひらがなの書は「ほとけさま」です。
画面のサイズが75×34cmの縦長の軸装で、1972年、熊谷先生が92歳のときに制作された作品です。共箱もついています。

まだ展覧会もほとんど開いていらっしゃらなかった頃から熊谷先生を支援していた木村定三さんという大蒐集家の方が、エッセイのなかで「熊谷さんはからすの《か》とかきの《か》とは違うとそのとき独語のように言った」と書いていらっしゃいます。
のちに《ほとけさま》と《かみさま》の書を依頼した際には、《ほとけさま》は縦に薄墨で、《かみさま》は右から左に横で濃墨で描いたそうで、木村氏は「《ほとけさま》は法隆寺の百済観音の感じがして柔らかく、《かみさま》は厳粛で鋭いものであった」と続けて語っています。

《ほとけさま》は白洲正子さんも好んで、エッセイ『鶴川日記』に登場したり、邸宅「武相荘」で現在も時折飾って来館者を迎えたりしているため、そちらでご覧になってファンになったという方もいらっしゃるようです。

 

「ほとけさま」の書は秋の熊谷守一展に展示予定です。
気になられましたら資料のお送りもできますので、画廊問合せフォーム(https://yanagase-web.com/contact)からよろしければお尋ねくださいませ。

 

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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