柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

ブログ

2023.09.23

《ブログ》ルオー作品

今月は作品買取・売却のご相談を多くいただきました。
その中の1点に、ルオー作品買取のご相談作品がございました。

ルオーの作品は、岩波書店さんから『ルオー全絵画』2冊1函 と『ルオー全版画』2冊1函 が刊行されていますので、油彩画・版画作品についての調査が楽です。
売却のご依頼をいただきました作品お調べいたしましたところ、同図柄の銅版画作品は掲載がありますが、買取作品は銅版画ではなく、画面が荒い刷りで印刷のような印象の作品でした。
不思議に思い、岩波書店さん刊行の数年前にイギリス で刊行された『ジョルジュ・ルオー THE GRAPHIC WORK』も弊社本棚に揃えてありましたので、調べてみますと、該当の作品が掲載されていました。
作品はまったく同じ図柄のようですが、タイトルが 岩波書店のレゾネ版画作品は銅版画で「見世物小屋の呼び込み」ですが、イギリスのグラフィック集には「三人の道化師」となっていました。

ガラス越し(裏面が密封されています)に画面を見ますと、コピーでもない感じでしたので、岩波書店刊行『ルオー全版画』を読み進めていくと、この作品について、ルオーの筆跡で下記の記述があると記されていました。
「1925年にオーギュスト・クロが制作した多色刷りの試版が存在している。…写真版の機械的な工程である…」
「この主題の印刷物がこれからも発見されたら、その印刷物はすべて例外なく私に返還されるべきである…該当作品は大部分は返還されたが、その一部が紛失したのでそれらも破棄されることを望む」との内容でした。

お客様が作品を購入された画廊は廃業してしまい連絡がつかないので、返品できないとのことで残念な結果でとなりました。お客様にこのことが記されているページをコピーして、お渡ししようと思います。

ルオーは作品はもちろん素晴らしいですし、生涯 絵画に真摯でいらして、素晴らしい画家のお一人だと思います。

ルオー作品にご興味のある方は、パナソニック汐留美術館のルオーコレクション(https://panasonic.co.jp/ew/museum/collection/)がお勧めです。 常時ルオー作品と出会える素敵な美術館ですので、ぜひお出かけください。

 

柳ケ瀬画廊 市川たけよ

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