柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

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2022.01.22

《作品紹介》麻生三郎 油彩画

柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。

展示作品の中から、毎日1作家、お薦めの作品とともにご紹介しています。

久しぶりに麻生三郎先生の油彩画が手に入りました。
絵画とは何か、絵画の本質とは何か を追及しつづけた洋画家の作品です。

麻生先生は1913年に現在の東京都中央区に生まれました。小学校の同級生には日本画家の鏑木清方先生がいたそうです。学生時代の麻生先生は絵が好きで、セザンヌやゴッホ、ダ・ヴィンチ、デューラーなどを好んで模写していたといわれています。
そして、17歳のときに太平洋美術学校に入学すると本格的に絵を学びはじめました。この学校は、浅井忠先生たちがつくった明治美術会からの流れを汲む太平画会の学校組織で、麻生先生はここで松本竣介先生や寺田政明先生と知り合い、彼らと一緒に画会を作ったり展覧会を開いたりして切磋琢磨していくことになります。

麻生先生の初期作品は、残念ながら空襲でアトリエごと大半が燃えてしまったのであまり現存していません。しかし、戦中戦後から2000年に87歳で亡くなるまで、多くの作品を描いてくださったので、柳ケ瀬画廊でもこれまで何点も作品を扱わせていただけています。東海地区では十年ほど前に愛知県美術館さんで大きな回顧展がひらかれたので、そちらを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

麻生先生の作品は、先生のいう「外部はわたしをつつむ異質な空間である。わたしはその空間のなかにいるのだ。」をあらわしているような黒色や灰色で覆われた画面のむこうがわに、先生のいう「わたしがたしかめたものをしっかり掴」んで描かれた存在が描かれているように感じます。それが麻生先生がエッセイで書いていらした「絵画自身の生命」なのかなと思っています。

ぱっと見るだけですと、何が描かれているか分からない難しさがあるかもしれません。
しかし、じっと画面をみていると、次第に目が慣れて、奥から形が見えてきます。
今回、手に入った作品は人物、花、虫と草の作品です。いま、画廊には花の油彩画4号(1972年制作)を飾っています。

お時間ございましたらぜひお出かけくださいませ。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております(*^^*)

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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