2022.01.10
《作品紹介》山口薫 油彩画
柳ケ瀬画廊「新春逸品展」を開催中です。
展示作品の中から、毎日1作品、お薦めの作品を御案内申し上げます。
今年の新春展では、山口薫先生の油彩画の名品2点が揃いました。
どちらもコレクターのお客様のお探しの多いモチーフです。
山口先生は岐阜出身と縁があり、岐阜出身の矢橋六郎先生とは美術学校受験のために通った画学校以来の親友でした。岐阜ゆかりの村井正誠先生とも一緒に美術団体を立ち上げたりしています。
全国的な巨匠のため、山口作品は多くの美術館でコレクションされていますが、岐阜県美術館さんではとりわけ展示されていることが多いような気がします。今もちょうど《画室の森》という美しい中期の大作が展示されているはずです。
山口先生はお若い頃は具象的な絵を描いていらっしゃいましたが、次第に抽象的な画面に移っていきます。先生のアトリエを訪問した方によると、壁には自作の詩や短歌、俳句、つぶやき、芸術論のようなもの、制作のおぼえがき、心に残った古い歌などが紙に書かれて無数に留められていたそうで、作品も音楽が聞こえるようなロマンティックな雰囲気が感じられます。
今回の作品はどちらもそうした山口先生の美しさがよく出ています。
また、1964年に山口先生は母校である東京藝術大学教授に就任していますが、教授としての「山口先生」も生徒に慕われるタイプの先生だったようで、教え子の方のエッセイなどでお人柄が書かれているのを見かけたことがございます。
絵にもそうしたお人柄が出ているような気がいたします。
本展では山口薫先生と同時代の画家・難波田龍起先生の作品も展示いたしております。
お時間がございましたらお出かけください。
柳ケ瀬画廊 市川たけよ 市川瑛子