柳ヶ瀬画廊

柳ヶ瀬画廊

創業大正8年
熊谷守一・香月泰男・藤田嗣治など
内外洋画巨匠作品取扱の老舗画廊

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2025.06.08

《作品紹介》マリー・ローランサン

柳ケ瀬画廊では「秀作鑑賞展」を開催しています。
国内外の大家・巨匠の作品23点を展示中です。

展示作品のご紹介です。
久しぶりにマリー・ローランサンの作品が入りました。
花冠をかぶった女性の表情を瑞々しく描いた水彩画で、タイトルが日本語で「かわいい」という意味をしています。

ローランサンはフランス・パリで生まれ、10代の頃にお針子をしていた母からティーカップの絵付けをするように言われ、その絵がうまかったことから美術学校に入り、ブラックやピカビアなど同時代のアーティストと出会い活動を始めた女性です。
ピカソもローランサンを評価したひとりで、作品を購入したほか、当時大きな意味を持っていたニューヨークで開かれるアーモリー・ショーへの推薦作家のひとりとして彼女を推しています。ただ、ふたりは親しくはあり、ローランサンもキュビスムの影響を受けますが、画風の面ではローランサンはピカソに接近しすぎることなく自分のスタイルを守りました。そうして「自分らしさ」を考え続け、独自のスタイルを築いたローランサンの作品は、パリの上流階級の女性たちの間でローランサンに自画像を描いてもらうことが流行となるほどの人気となっていきます。
活動の幅も広く、舞台装置や衣装デザインも手掛けています。ココ・シャネルとの交流も有名ですね。

1883年のお生まれなので、日本人の熊谷守一や藤田嗣治らが同時代を生きています。
ローランサンが「なぜ死んだ魚や玉ねぎ、ビールグラスを描かねばならないのでしょう。女の子の方がずっと可愛いのに」といって女性像を多く手掛けたエピソードなどは、熊谷守一が切り花を死んだ花だから描きたくないと言っていたことにも重なります。どちらも生きているもの、瑞々しいいのちを描いた作家です。

 

ローランサンの婦人像は画廊の正面手前に飾っています。
また、今回の秀作鑑賞展では、棟方志功の妙肌韻板画柵シリーズや、東郷青児の女性像も展示していますので、女性の作品に囲まれた画廊となりました。同じ女性像でもそれぞれの画家によって、まとう空気が異なっていますので、ぜひ画廊にて見比べてお楽しみいただけましたら幸いです。

柳ケ瀬画廊の秀作鑑賞展は6月29日までの開催です。
皆様の御清鑑を心よりお待ちしております。

 

柳ケ瀬画廊 市川瑛子

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